足立朝日

Vol.160音楽劇「星の王子さま」昆 夏美

掲載:2015年12月5日号
「薔薇」を探す旅を共に

 昆夏美――。何と素敵な女性だろう。ミュージカル女優・歌手以前に、ひとりの女性としての輝きに満ち溢れている。男性のみならず、女性や子どもたちにとって憧れの存在。特に女性ファンが多く、「今、最も同性から支持されるミュージカル界新世代の歌姫」である。
 洗足学園音楽大学に在学中に、「ロミオ&ジュリエット」のジュリエットとしてプロデビュー。それ以来、「ハムレット」のオフィーリア、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌなど、次々と著名なミュージカルに出演。同大卒業後は、ミュージカル女優ならば誰もが一度は演じたいと望む「ミス・サイゴン」のキム役で大きな飛翔を遂げた。
 その昆は今、音楽劇「星の王子さま」(原作:サン=テグジュペリ)の王子として、連日稽古に励んでいる。12月12日(土)水戸芸術館ACM劇場を皮切りに、全国5カ所で上演され、来年1月は、シアター1010公演が実現する。足立区の子どもや若者たちが、昆をはじめ伊礼彼方(飛行士ほか)、廣川三憲(飛行士の親友ほか)の立つ舞台に、アンサンブルとして出演(詳細は足立朝日10月5日号参照)。まさしく夢の共演を果たす。
 脚本・演出は青木豪。ある意味で難解なこの名作が青木の手にかかると、生きた言葉が清水のごとく心の中に流れ落ちる。作曲・音楽監督は笠松泰洋。笠松の楽曲を、服部桂奈のピアノ、小美野悠太のコントラバス(埼玉公演=内田義範)が奏でる。
 「伊礼さんと廣川さんの早変わりや、ピアノの服部さんが薔薇役で良い味を出しているのも見どころ。王子さまの旅が始まり、最後のシーンに行き着くまで、この膨大なセリフを心に落とし込むことが、自分のパワーやエンジンになると考えています。薔薇は王子にとって、いつもいる当たり前の存在。だからこそ、ありがた味が感じられなくなることがありますが、この作品を通して『ただ居てくれることの大切さ』を感じています。私にとっての薔薇は『家族』だと気づきました。ぜひ、家族・友人とご一緒にご覧になり、笑って泣いて『皆さんにとっての薔薇』を感じて下さるとうれしい」。またひとつ、昆の新境地が開かれる。
【日時】10日(日)、11日(月・祝)午後2時【料金】4500円(フレンズ割引あり)【チケット】TEL5244・1011。
【場所】シアター1010 足立区千住3丁目92