足立朝日

成井豊「ドラマ・リーディング」 発表会3月20日に

掲載:2016年2月5日号
 1月9日(土)からスタートしたシアター1010ワークショップシリーズ「ドラマ・リーディング教室」。今年で6年目となるこのワークショップでは、演劇集団キャラメルボックスの代表であり、脚本・演出担当の成井豊が、心身から溢れ出るエネルギーを全開にして参加者と向き合う。
 今回の教材は、宮沢賢治原作の「貝の火」と「セロ弾きのゴーシュ」。「貝の火」は、宝石のオパールのこと。非常にもろく、取り扱いの難しい鉱物であることから、名声や権威のもろさを象徴する。「人として大切なこと」を示唆するこの童話が、俳優ではない一般の人々によりどのように読まれるのか興味深い。参加者は全員大人。個々「何かの思い」をもってここに臨むメンバーである。
 稽古2回目の1月16日(土)は、まず発声のための腹式呼吸を行い、緊張の中「貝の火」の本読みへ。台本を読み進めていく中で、成井は参加者に盛んに各場面をイメージさせ、それに相応しい声の表現を求める。まずは、それぞれのキャラクターがどのようなものであるのかを理解させる。「例えばこの役ならば○○」と、実際の俳優の名前を出すが、それがまたピッタリで場の雰囲気が和む。
 「キャラクターの型を型としてやるのはダメ。型を利用しながら崩すと現実感が出る」「主役と脇役では、脇役のほうが色が濃い。主役が濃すぎると、観客は感情移入しにくい」「子どもを演じる時には、感情や思考を複雑化せず単純化する」等々、成井のアドバイスが飛び交う濃密な時間……何と贅沢なことだ! 現在は参加者一同、苦慮の最中であるはずだが、やがて成井の一言ひとことの意味を実感する時が来る。
 それは、「ドラマ・リーディング発表会」! 成井メソッドを吸収した参加者の「変貌ぶり」が存分に楽しめる瞬間である。
ぜひ豊かなひと時を共に。
【日時】3月20日(日)午後2時【場所】シアター1010ミニシアター(北千住マルイ10階 稽古場1)【料金】無料(全席自由・要予約)【予約方法】2月11日よりシアター1010チケットセンターまたは窓口【申込み・問合せ】TEL5244・1011

写真/成井(左)の熱い指導全開!