足立朝日

撮影／ジェコブス安子さん＝梅島３丁目在住・主婦

　「何か写真撮り出来るものはないか、と梅島駅から西新井方面へ歩いて行ったんです。すると、巨大なマンションが出現し、そのそばの公園にこの車輪が置いてありました」――と話すのはジェコブスさんだ。　
　そう、ここは東武スカイツーラインの線路脇にあった東武線西新井車輌工場の跡地だ。線路際に巨大なマンション「リライズガーデン西新井」などが建ち、そのそばの公園が「亀田トレイン公園」。
　写真は、スポークの車輪がオブジェのように展示されていた。見逃してしまうような扱いだ。展示物としての解説板があって「平成22年３月　東武鉄道寄贈」とあったが、ここにかつて車輌工場があったことなどは書かれていない。
　ジェコブスさんは「このあたりはまるっきり変わってしまった。時代の流れを感じますね。でも、このオブジェといい、何か余りに冷たい扱いですよね。寂しくなりました」と語る。
　車輪の後ろに写っているスケートボードに興じる子どもたちは、ここに車輌工場があったことなど知る由もない……。
【交通】西新井駅から徒歩10分
（選者・学芸員 小林基治＝日本写真会同人）