足立朝日

この本

掲載:2016年4月5日号
①「湿布は貼るな! 腰痛先生ゴリパパの哲学」(高林孝光著/論創社刊1000円+税)
 体のあらゆる痛みを取るためには「湿布は貼るな!」「痛み止めは飲むな!」――これが、長年、足立区で鍼灸接骨院長として治療実績を積んできた著者・通称ゴリパパが、同書で伝えたいことだ。今や、日本では2800万人もが腰痛で苦しんでいるが、湿布や痛み止めは、痛みの原因を除去するものではなく、単なる対処療法。ゴリパパは、同書で「湿布や痛み止めが有効な場合と、効果がない場合」「湿布の弊害」等を解りやすく解説。そして、「触れることができない筋肉に触れる」ことで治療できることを伝えている。
 辛い痛みを抱える読者は、湿布を貼る前に一度、ゴリパパに相談してみるのもいい。
 連絡先=アスリートゴリラ鍼灸接骨院、足立区島根2-30-21、TEL5856・5063

②「東京北東地域の中世的空間」(加増啓二著/岩田書院刊TEL3326・3757、249頁・3000円+税)
 足立区や其周辺の歴史は、果たして江戸時代から始まったのか――。足立区地域文化課学芸員の著者が、「そんな間違ったイメージを改めたい」と、東京の北東地域(さいたま市、草加・川口市~台東区浅草)について、中世の地域史解明に取り組んでいる。
 「在地が抱く信仰空間」「水域が育む伝説空間」「地名に潜む歴史空間」の3章立て。伊興の白幡塚に伝わる八幡太郎源義家伝説、千住宿のルーツ、「関屋の里に泊まって京都から鹿島神宮まで旅した鎌倉時代の歌人・藤原光俊の目的は、地震を起こす大ナマズを抑えている要石を探すためだった」など、古くからの言い伝えを検証し、中世の歴史像に迫る。足立区を中心とした地域にまつわる由来などを本格的に知りたい人におすすめの専門書。
 前著は「戦国期東武蔵の戦乱と信仰」。ともに区内図書館で借りられる。書店で注文購入する場合は、「地方小出版取扱い品」と一言添える。