足立朝日

西新井に「菜園」でつながる 新たなコミュニティが出現 古アパートを菜園付き賃貸住宅に改装

掲載:2016年8月5日号
 日暮里・舎人ライナーの駅から歩いて3分。西新井の閑静な住宅街に、昨年6月、築40年の木造アパートを、菜園付きの賃貸住宅(コレクティブハウジング)に改装した物件が話題になっている。募集した全7戸の住民は区外から引っ越して来た11人。屋外の菜園で各種野菜や果実を作り、8月6日(土)には居住者同士の「ソトゴハン会」という名の「懇親会」を開くなど、新たなコミュニティづくりが進んでいる。

 この共同住宅を思い立ったのは、伊興在住で不動産管理などを営む山﨑有康さん(53)。
 山崎さんは、祖父からこのアパートを受け継いだ。祖父は、花農家で、子ども時代は花や緑に囲まれた生活。「私は小さい頃から緑や農業にとても関心がありました」と山崎さん。だが、この地域はどんどん宅地化され、「都心化」が進んでいた。そこで、「将来のことを考えると、街に魅力を作らないといけない。それには農業との結びつきがふさわしい。『農』でつながる快適な住居を提案したいと考えるようなった」という。 
 山崎さんは、インターネットで、一級建築士であり地域コミュニティの研究活動を行う日本大学理工学部まちづくり工学科の落合正行さん(36)を見つけ、設計を相談。様々な議論を交わし、菜園付き賃貸住宅(コレクティブハウジング)「ワカミヤハイツ」が出来上がっていった。 
 8戸あった部屋を、柱や梁、建具などはなるべくそのままに、壁を取り払って7つの住居スペースとコモンスペース(共有の部屋)に改装し、屋外のコンクリート部分をはがし、土を入れて約130㎡の菜園と、皆で会食できる庭をつくった。
 昨年6月、Webサイトなどで入居者を募集したところ、あっという間に入居者が決まった。20代~40代で職業も様々な11人。
 菜園では、ハーブ、月桂樹、ナス、サトイモ、空芯菜、トウモロコシなどを栽培、これを収穫しては、コモンスペースで一緒に調理して食べたり、イベントを開催したりして、ゆるやかにつながりながら、共に暮らしている。
【おことわり】この「ワカミヤハイツ」については、山崎さんの要望により、詳しい住所を明らかにしていません。以前住所を公開したところ、許可なく住宅の写真を撮るなどの迷惑行為が発生したためです。

写真上/左から山崎さん、落合さん、スタッフの杉本さん=「ワカミヤハイツ」前で
中/ワカミヤハイツ(左)脇にある菜園
下/オシャレで明るいコモンスペース