足立朝日

Vol.168雪まろげ

掲載:2016年8月5日号
森光子の女優魂 高畑淳子が継承

 1980年、芸術座(現・シアタークリエ)で森光子主演による「雪まろげ」が初演を迎えた。
 温泉が大賑わいだった昭和50年代の青森県・浅虫温泉を舞台に、温泉芸者・夢子がついた小さなウソから巻き起こる大騒動を描き、大ヒットとなった。その後、山陰篇と北海道篇も製作され、代表作「放浪記」や「おもろい女」と共に、喜劇好きな森がこよなく愛した作品となった。
 夢子役は、森の「ウソつき女を演じてみたい」というリクエストにより、劇作家の故・小野田勇が創造した人物。2007年、86歳の森は、シリーズ通算471回の上演回数を重ね、帝国劇場と博多座で最後の幕を閉じた。
 孤児で、人の顔色を見るように育ち、その場その場で人のために良かれとウソをつく、健気で憎めないこのキャラクターを、老若男女から支持される女優・高畑淳子(写真左)が受け継ぎ、この9月にシアター1010の舞台を踏む。
 「放浪記」では、大きな話題となった森のでんぐり返し、「おもろい女」では即興漫才――これに並ぶ「雪まろげ」での名場面は、お座敷での夢子の津軽弁と、当て振りをフル活用して歌う「津軽海峡 冬景色」。さらに、一幕の幕切れで歌う津軽民謡「十三の砂山」。これら森の豊かな感性とチャレンジ精神に基づく女優魂を、高畑がどのように受け継ぎ、自分のものとして披露するかが注目される。
 また、ワハハ本舗の音楽を得意としたお笑いトリオ「ポカスカジャン」のボーカル&ギターのタマ伸也、省吾も出演。タマ伸也が「津軽海峡 冬景色」を熱唱するなど、音楽性に富んだ作品となっている。
 高畑を中心に、ライバル芸者・銀子役の榊原郁恵(写真右)を始め、的場浩司、湖月わたる、柴田理恵、青木さやか、山崎静代ら豪華キャストが結集し、浅虫温泉の個性溢れる住人を熱演する。
 脚本・演出は、藤山直美主演の新バージョン「おもろい女」「ええから加減」を成功させた田村孝裕。喜劇の傑作・新生「雪まろげ」に大いに期待が寄せられる。
【日時】9月24日(土)12時・17時、25日(日)12時
【料金】1万1800円(フレンズ10%引)
【チケット】TEL5244・1010
【場所】シアター1010 足立区千住3丁目92