足立朝日

1400年の歴史!3Dアート「盆景」の第一人者 日本盆景協会会長 杉原 由親 さん(85)

掲載:2016年9月5日号
盆上の絶景を楽しむ

 植物の芸術「盆栽」が外国人に注目され、ブームになっているが、これと似ている美術作品「盆景」に人生を賭けている人がいる。青井4丁目に事務所兼仕事場を構える杉原さんだ。
 盆景は、小さなお盆や額、板などの上に景色などを立体的に再現する芸術。そもそも、飛鳥時代・推古天皇の頃に仏教が伝来、仏様に供える供花や供具として作られたのが始まりで、何と1400年の歴史を持つ。山、海、川、森、滝などの自然から建物、人々の動きまでを立体的に表現する。「今はやりの3Dの世界。精密に、よりリアルにと作っていくんですよ」と語る杉原さんの目は、まるで子どものようにキラキラと輝く。  
 おもちゃ関係の仕事をしていた杉原さんが盆景に出合ったのが40年前。デパ
ートで開かれていた展示会でその精巧さに驚き、感動、この道に。
 盆景は、それまで、化土つち(葦などの根が土化したもの)を使い、水を補給し、生木・生苔・生花が使える「化土盆景」が一般的だったが、杉原さんが考え、普及したのは、水を補給せず、永年保存が出来る「固形盆景」。発砲スチロールやプラスチックを材料にした「アート造景」で、丈夫で軽く、長持ちする。
 青井4丁目の事務所兼作業場と倉庫には、これまでの作品がびっしりと段ボールに入れられて置かれている。
 「巌芳流三世家元」で「景月」の雅号を持ち、「一般社団法人 日本盆景協会」会長を務める杉原さんは、この秋忙しい。9月11日(日)に江東区にある清澄庭園大正記念館で「日本盆景協会創立100周年記念盆景大会」を実施した後、11月1日(火)~23日(水・祝)には日比谷公園陳列場で、都公園協会と共催で「世界の絶景100選」という展示を行う。杉原さんや会員たちが腕によりをかけて作った日本の絶景50点を軸に、北米-南米、欧州-アフリカ各25点が並ぶ。必見だ。
【メモ】杉原事務所は、青井4‐12‐15。TEL3849・2475、FAX3887・2550。