足立朝日

Vol.173 千住落語会 東西競演二人会

掲載:2017年1月5日号
名人聴き比べ ざこば×小遊三

 春の千住落語会は、上方落語の重鎮・桂ざこば師匠と、落語芸術協会副会長・三遊亭小遊三師匠による東西競演二人会だ。
 ざこば師匠は、そのストレートな物言いと、破天荒ながらも裏表のない一途な性格が大阪人に愛され続け、上方落語にはなくてはならない存在。
 中学時代に寄席通いを始めたざこば少年は、故桂米朝師匠の落語を聴いて感動し、弟子入りを志願。何度断られても諦めず、昭和38年、遂に入門を認められ、朝丸として落語界でのスタートを切った。米朝師匠は、やんちゃな朝丸を可愛がり、厳しくも愛をもって指導。
 朝丸は「第1回枝雀・朝丸兄弟会」(京都府立文化芸術会館)、「第1回桂朝丸独演会」(大阪・サンケイホール)などの経験を積み、「上方お笑い大賞金賞」受賞後は、数々の賞に輝いた。昭和63年、二代目・桂ざこばを襲名。米朝師匠もまた、人間国宝となり、さらに文化功労者顕彰、文化勲章受章。噺家としての花道を飾り、平成27年に永眠。以来、ざこば師匠が米朝一門をリードし、敬愛する米朝師匠の想いを引き継いでいる。
 小遊三師匠は、あの長寿番組「笑点」での大喜利でお馴染み。「笑点」限定の福山雅治として、愉快なオジサンを演じている。高校時代、卓球部のキャプテンであったことから、昭和39年の東京オリンピックで、聖火ランナーとして地元・山梨県大月市を走ったエピソードを持つ。現在もなお、らくご卓球クラブのコーチを務めるスポーツマンという意外な一面がある。  
 さらに、落語芸術協会員によるデキシージャズバンド「にゅうおいらんず」を組み、ヴォーカルとトランペットを担当。春風亭昇太師匠らと共に、浅草演芸場などでバンド演奏を披露するという異彩ぶりを発揮。
 昭和43年に三代目・三遊亭遊三師匠に入門後、翌年に三遊亭遊吉として前座修行開始。昭和48年に小遊三に改名し、その10年後には真打昇進。「芸術祭優秀賞(芸協五人衆)」、「芸術祭優秀賞」受賞などを経て、今、最も勢いのある関東の噺家の一人として活躍中だ。
 千住初お目見えのざこば師匠と、多才な小遊三師匠との名人聴き比べをお楽しみあれ!
【日時】3月28日(火)午後6時30分
【料金】3600円、区民割引(在住・在勤・在学)3400円、フレンズ10%引
【チケット】TEL5244・1011
【場所】シアター1010 足立区千住3丁目92

写真/桂ざこば師匠(右)と三遊亭小遊三師匠