足立朝日

木電気

掲載:2017年2月5日号
撮影/能條義昭さん(74)
=柳原2丁目在住


 千住・柳原地区には「木電気(きでんき)」なるものが多く残されている。「木電気」とは、文字通り裸電球に傘を付けて木の電柱に取り付けた電灯のこと。ボワーンとした白熱灯の光に照らされて、ゆったりとした時間が流れ、癒しの空間が広がる。
 今のように鉄かステンレスの柱におシャレなLEDランプを取り付けたものと違い、あくまでも昔のままで、昭和レトロの風情だ。
 このあたり「柳原千草通り」は、昔からの家々が密集し、拡幅できずに今も細い路地が多く残っている。武田鉄矢主演のテレビ「3年B組金八先生」の初回の舞台になったのもこのあたりだ。舞台になった肉屋「上岡精肉店」は今も健在だが、八百屋さんは廃業してしまった。
 昔は電灯の傘としてアルミ鍋のふたやフライパンみたいな物を使ったものもあったという。「町の人たちがこの木電気を大切に守っているのが嬉しい」と能篠さん。木電気は、「町の景観として守ろう」と、商店街や街場の人たちが協力して残したもの。数としては路地に1つ、2つというレベルだが、石柱の電柱に白熱電球付の木材を巻いてあるものとか新しい丸太に付けた物など珍しい木電気もあるので、「路地散策をお勧めしたい」と能條さん。
(写真提供=足立区写真連盟)