足立朝日

Vol.50-Cooky Clown 柳浩太郎

掲載:2007年2月5日号
 今をときめく若手男性俳優集団「D―BOYS」(ワタナベエンターテインメント)のひとり、柳浩太郎が、シアター1010で主演する。演目はファンタスティックミュージカル「Cooky Clown」。
 金融業界で飛ぶ鳥落とす勢いの若手社長。でも、心はなぜか満たされない。そんな時に巡り会った「クッキークラウン」。それにより全てを失い、奈落の底につき落とされるが、次第に「本当に大切なもの」に目覚めていく。演出は是枝正彦。かつて「キモサベポン太」名でお笑い界に旋風を巻き起こした伝説の人物だが、現在は、人情味溢れる喜劇の名手として活躍。
 柳は「この話がきた時、自分のために生まれた役と直感。クラウンも自分も、お互いが出会いを強く望んでいたような気がして、すごくうれしかった」と満面の笑みで話す。周囲から「個性的」と称される柳は、父親の仕事の都合で、3歳までドイツ・ベルリンで生活。一時帰国後、さらにインドへ渡り、小1から3年間、午前中は英語、午後は日本語補修の日々。4年から6年までは、姉と共にインド内のアメリカンスクールで寮生活を送った。自分で物事を判断し、積極的に行動を起こす生き方は、小学生時代に芽生えたようだ。
千住の町に幸せ運ぶ道化師
 中学から再度帰国し、中・高一貫教育の私立校へ。そこではヒップホップ同好会を発足させて、華麗なダンスが注目の的となるなど、持ち前の積極性を発揮。在学中にミュージカル「テニスの王子様」の主役・越前リョーマ役で初舞台を踏んだ。卒業を控えた冬に交通事故に遭い、意識不明の重体に陥ったが一命をとり止め、奇跡的に回復。厳しいリハビリを経て、再度「テニスの王子様」の主役復帰。
 柳は現在21歳だが、幼少時からの多種の経験が、彼を柔軟にしたようだ。中性的なイメージの柳は10代に見られることが多く、この世界でも年下扱いされがち。それに逆らうことなく、柳は在りのままの自分でいたいと願う。会話も一生懸命、日本語で対応しているが、姉との会話は自然に英語になっているそうだ。
 「よく遊びに来た大好きな千住。この芝居を観て、千住に本物のクラウン(道化師)がいると幸せな気持ちになってもらえるとうれしい」と柳。「今、遠藤雄弥くん(D―BOYS)とクッキークラウンにラヴなんです」と楽しそうに笑った。
  上演=3月8日(木)~11日(日)。6000円。チケット℡5244・1011。