足立朝日

この本

掲載:2017年8月5日号
★「少女は夜を綴らない」逸木裕著/KADOKAWA刊/1,400円+税
 昨年、満場一致で「横溝正史ミステリ大賞」を受賞した「虹を待つ少女」から、わずか10カ月。足立区在住の作家・逸木裕がほとばしる情熱とイマジネーションを再び文字に乗せ、早々と2冊目に挑んだ。
 常に「人を傷つけてしまうかもしれない」という強迫観念に苦しむ中学3年の理子。謎の死を遂げる理子のクラスメイト・可奈子。秘密を暴くと静かに理子を脅す可奈子の弟・悠人。
 「夜の日記」をキーポイントに、多感な中学生を囲む大人たちの言動や殺人事件がスパイスを効かせながら、少年・少女たちの心の暗部をえぐり出していく。個々が苦しみながら到達したのは……。
 共感のサスペンス&ミステリ。
 逸木は「受賞後第一作ということで気合を入れて書いた作品!」と力強い言葉。