足立朝日

映画「3月のライオン」の一場面 保木間小と児童が参加

掲載:2017年5月5日号
 厳しい将棋の世界で生きる青年と、彼を取り巻く人間ドラマを描いた映画「3月のライオン」。4月22日(土)から公開されている後編の一場面が保木間小学校で撮影され、児童たちがエキストラとして元気に参加している。

 原作は同名の人気漫画で、作者は足立区出身の羽海野チカさん。
 主人公・桐山零の小学生時代の回想シーンを撮影する学校を探していた制作スタッフが、「原作者の出身区で撮りたい」と打診、保木間小の工藤洋巳校長(当時)が「これもご縁。滅多にできない経験なので、子どもたちの記念になれば」と名乗りを上げた。同校は校庭が広く、校舎の廊下が長い。時代を感じさせる外観を、大友啓史監督も一発で気に入ったそうだ。
 実は、都内で「現役」の学校を借りるのは難しく、撮影に使われるのは非常に珍しいとのこと。地方では背景がイメージ通りにならず、かといって都内の廃校だと遊具などに微妙な違和感が出てしまうという。「『生きている学校』はリアリティが違う。零は都内の小学校に通っていた設定なので、それを画にしたかった」という制作スタッフのこだわりに、マッチした。
 撮影が行われたのは、1年ほど前。校内でエキストラ参加希望者を募ったところ、約80人の児童が集まった。休み時間の校庭で、零が周囲に馴染めず仲間から孤立するシーン。子どもたちはエキストラとして、演技する子役たちの後ろで、いつものように一輪車や遊具などで元気いっぱい遊んで、映画作りに参加した。
 「撮影終了後は記念品の手拭いをもらって誇らしげでした。映像は後に残るので、ふるさと足立をもっと使ってもらいたいですね」と工藤校長。子どもたちにとって、忘れられない宝の一つになったに違いない。
◆映画「3月のライオン」
前編=3月18日(土) 後編=4月22日(土)2部作連続・全国ロードショー。配給:東宝=アスミック・エース。
《ストーリー》
 中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零(神木隆之介)は、幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士の幸田に引き取られたが、今は下町で一人暮らし。深い孤独を抱えて将棋を指す日々の中で、近隣の町に住む3姉妹と出会い、居場所を見出した零は、温かな支えを胸に、様々な人生を背負った棋士たちが頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける壮絶な闘いに飛び込んでいく。

写真上/「3月のライオン」の一シーン。主人公の小学生時代 (C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会
中/保木間小での撮影風景
下/原作最新12 巻(ヤングアニマルコミックス)486円(税別)※電子版も各社より配信中