足立朝日

91.「金峯稲荷神社」 大谷田3-8-7

掲載:2018年3月5日号
 区内唯一の梅園があることで知られる「大谷田公園」そばに、住宅に隠れるように建つ「金峯神社」。その名が示すように、この地域の発展に尽力した「金子峯助」への感謝と親愛を込めて建てられた。
 峯助は、明治28年(1895)~明治34年(1901)と明治38年(1905)~明治44年(1911)の2度にわたって東渕江村の村長を勤めた。それまで、同村の中でも開発の遅かった大谷田は人家もほとんど無かったが、峯助は道を造り、橋を架けて人の住める土地へと整備を進めた。さらに、排水が悪く常に水気の多い田んぼを、独自の着想と私財を投じて土地の改良にも成功した。
 境内には、その歴史を語る顕彰碑が建てられ、地域の人たちから愛されていたことをうかがい知ることができる。かつては、毎年初午に酒を酌み交わし峯助を偲んでいたが、土地開発が進みこの地を離れる人や世代交代などによって、今は途絶えてしまっている。
 しかし、大谷田の住人や新たに引っ越して来る人たちに、大谷田を開発した大恩人「金子峯助」について知る場所として、この神社がいつまでも残ってほしいものだ。
【交通】「北綾瀬駅」下車、徒歩約10分

写真上/人家に隠れてひっそりと建つ神社
下/歴史を語る顕彰碑