足立朝日

足立学園の第16代校長に就任した 井上 実 さん(59) 千葉県柏市在住

掲載:2018年5月5日号
「守破離」の精神が大切

 勇退した寺内幹雄さんに代わり、この4月から足立学園の新校長に就任した井上校長は、自らを「歴史オタク」と言うほど歴史好きで、笑顔が優しい先生である。
 と言っても、専門教科は歴史ではなく数学。日大理工学部で学び、昭和57年(1982年)に数学の教諭として足立学園(当時は足立高校)に赴任した。以来、教室では数学一筋だが、グラウンドでは野球部のコーチ、監督として35年、足立学園を率いて来た。都大会でベスト8、ベスト16を何回か経験。
 そして「歴史」。4月7日(土)体育館で行われた中学・高校の入学式で、約400人の新入生を前に、約10分間の新任の挨拶。語ったのは吉田松陰の言葉で「山は樹を以て茂り、国は人を以て盛なり」の最後をもじって「学校は生徒を以て盛なり」とした。君たちが学校を作って行くのだ、夢をかなえてほしい、教職員は君たちを惜しみなくバックアップする、と諭した。
 「子ども達がやる気になること、その雰囲気を作っていくことが大切なんですよ」。語る言葉に熱がこもる。この情熱は、惜しみなく同校の野球部員にも注がれたのであろう。
 「指示待ちの人間ではなく、自ら行動する人間になろう」と常に呼び掛けている井上校長。大好きな言葉は「守破離」。教えを忠実に守る時期があって、やがてそれを発展させ、自立する……。
 足立学園では、今「文武両道」が花開いている。文では、早大20人合格が象徴的。武では野球、柔道、アメフト、卓球、バスケ、サッカーなど多くの競技で優秀な成績を納めている。
 4月から、生徒のニーズに合わせた3コース制がスタートした。「生徒第一」の精神での教員のまとまりをどう作るか、井上新校長の手腕が試される。
 趣味は、文字通り歴史だが、一番好きな戦国武将は武田信玄だそうだ。「信玄は人を大切にしましたからね。私もそうありたいです」と語る井上校長の顔がキリリと引き締まった。