「旧千住宿の面影」 昭和39年1月。
千住四丁目、旧日光街道の東側にあった「げた久履物店」は、慶応年間に建てられ、度々の天変地異にも無事に過ごし、5代の人々が営業を続けていたが、昭和 50年頃ついに取り壊された。中央下に見える大きな下駄は、実に100年以上も店先に吊るされていた。戦前の小売店の典型的な形態を記録した1枚である。
付近一帯には、現在も約150年前建築の「長円寺」や約180年前建築の「横山家」、8代も続いている絵馬屋の「吉田家」などが残っている。また、少し北には約160年程前に建てられた整形外科の「名倉医院」もあり、古い千住宿の面影を今に伝えている。
(撮影・文=太田畯三さん・千住旭町在住)