足立朝日

この本

掲載:2018年7月5日号
★①「星空の16進数」逸木裕著/KADOKAWA刊/1500円+税
 「虹を待つ彼女」で「第36回横溝正史ミステリ大賞」を受賞した足立区在住のミステリ作家・逸木裕氏が待望の3作目を上梓! 
 プログラマーである同氏ならではの知識「RGB方式」。赤・緑・青の3つの光を混ぜて色を作る方式で、それぞれ0から255まで濃さを指定できる。255は「16進数」でFF。この方式で色の名前を呼ぶ17歳のウェブデザイナーの藍葉と、私立探偵のみどりが出会う。みどりが贈り主不明の100万円を藍葉に届けることから、2人の関係が動き出す。藍葉には、幼い頃に誘拐された経験があり、その時に見た「色にまつわるおぼろげな記憶」の真相を求めて、みどりに誘拐犯の捜索を依頼する。危ない橋を渡るみどりを、元同僚の浅川が見守り助ける。
 誘拐の意外な真相が暴かれ、一件落着と共に、藍葉とみどりの「心」が行き着く先が愛しい。物語には、足立区民にお馴染みの大師前、西新井、五反野、北千住の地名が練り込められ、さらに西新井大師繋がりの川崎が登場。
 逸木氏から次のメッセージ。「昔の誘拐事件を、職業探偵がひたすら追っていくリアルな捜査モノが書きたいというところからはじまり、舞台を生活の拠点である足立区と定めました。西新井や北千住の実在のスポットもたくさん出てきますので、近所を散策するような感じでぜひお読みください」
★②「病気を治したいなら肝臓をもみなさい」高林孝光著、栗原毅監修/マキノ出版刊/1300円+税
 痛みを抱える足立区内外の患者のみならず、プロアスリートからも支持を得るアスリートゴリラ鍼灸接骨院の高林院長。これまで多くの「痛み改善」のための本を書いてきたが、今回は「ギョッ!」とするタイトルの新書を、栗原クリニック東京・日本橋の栗原院長による監修のもと上梓。
 肝臓は、消化・吸収された栄養をエネルギーに換える「代謝」や、体に入った有害物質を無毒化する「解毒」、「胆汁の分泌」など500以上の役割を担っている。その活動量ゆえ、臓器の中で最も温度が高く、そこに血液が入ることで血液が温められ、それが全身へと送られる。この肝臓を元気に保つ、あるいは疲労肝を回復させることで自然治癒力が高められ、不調解消、さらには老化を遅らせることもできる。
 では、肝臓を元気にするにはどのようにすれば良いのか? 高林院長は「1日おきに1分間、衣服の上から優しく行う睡眠前の肝臓マッサージ」を提案する。肝臓は皮膚を通して手で触れることができる臓器の1つ。「さする」→「なで回す」→「押す」に加えて、4つのツボを同時に刺激できる「忍者のポーズ」をはじめ、肝臓に関する簡単明瞭な解説すべてが胃の腑に落ちる。不調を抱える読者にとってうれしい1冊だ。