学童疎開で得た忍耐力で企業家に
太平洋戦争の戦局の悪化に伴い、戦禍を避けるために、昭和19年8月(一次)、20年4月(二次)、同年6月(三次)の3回にわたり、足立区の学童疎開が行われた。8歳から12歳の約3700人が、学校単位で長野県長野市、下高井郡豊郷村(現・山ノ内町)、上高井郡高井村などへ疎開した(足立区「戦後70年 足立、戦争の記憶」一部引用)。
木嶋会長は東京大空襲後、西新井小学校の5年生の時に親元を離れ、長野県に第二次学童疎開をすることになった。まずは長野駅前の旅館・金城館に落ち着いたが、長野市内でもアメリカ軍による爆撃があり、5月には高井村堀ノ内の高井寺に移った。男女50人の児童が本堂にざこ寝し、早朝から全員でお寺の隅々まで清掃。ご飯・味噌汁・漬物の質素な朝食後、1㎞先の小学校へ通った。食べ盛りの子どもたちは常に空腹で、木嶋会長は米一俵を得るために、引率の磯野重郎先生や仲間と共に、公民館までの16㎞を大八車で往復した。
木嶋家の離れには、疎開先の高井寺を忠実に再現した大型の模型(「十四中記者体験」記事写真参照」)他、絵画、彫刻などが展示されている。元来器用で感性豊かな木嶋会長の才能に磨きをかけたのは、厳しい疎開先での日常で心の支えとなった長野の美しい自然であった。現在、木嶋会長は足立区立郷土博物館グループ「足立の学童疎開を語る会」会長として、毎年夏に区庁舎アトリウムにおいて「平和に関する資料展」を開催(足立区原爆被害者の会主催「原爆・平和・戦争を考える展示会」同時開催)。
「学童疎開を体験したことで、何事にも耐えうる心身を培った」と語る木嶋会長は、蔵前工業高校に進学後、保健所での消毒係、工具卸業など様々な業種のアルバイトを経験。卒業後に大手万年筆会社に就職したが、持ち前のチャレンジ精神が頭をもたげ、オートバイのゴム製品を扱う会社に転職。そして、23歳の時に小売店に積極的にゴムパーツ商品を売り込む問屋として独立した。以来、常に新商品を求めて現場の声を聞き、調査・研究を重ね続ける開発人生を送ることになるが、その根底には心の師・松下幸之助氏の存在がある。
木嶋会長が一代で興した㈱キジマは、現在、モーターレク総合開発メーカーとして業界第2位の企業に発展。社長を継いだ長男・孝一さん、優秀な社員一同、取引相手、そして木嶋会長の人生を献身的に支えてきた妻のヨシ子さんと家族に、日々感謝の想いを抱く木嶋会長。
その行動力と好奇心全開で、新たなチャレンジを模索中だ。
太平洋戦争の戦局の悪化に伴い、戦禍を避けるために、昭和19年8月(一次)、20年4月(二次)、同年6月(三次)の3回にわたり、足立区の学童疎開が行われた。8歳から12歳の約3700人が、学校単位で長野県長野市、下高井郡豊郷村(現・山ノ内町)、上高井郡高井村などへ疎開した(足立区「戦後70年 足立、戦争の記憶」一部引用)。
木嶋会長は東京大空襲後、西新井小学校の5年生の時に親元を離れ、長野県に第二次学童疎開をすることになった。まずは長野駅前の旅館・金城館に落ち着いたが、長野市内でもアメリカ軍による爆撃があり、5月には高井村堀ノ内の高井寺に移った。男女50人の児童が本堂にざこ寝し、早朝から全員でお寺の隅々まで清掃。ご飯・味噌汁・漬物の質素な朝食後、1㎞先の小学校へ通った。食べ盛りの子どもたちは常に空腹で、木嶋会長は米一俵を得るために、引率の磯野重郎先生や仲間と共に、公民館までの16㎞を大八車で往復した。
木嶋家の離れには、疎開先の高井寺を忠実に再現した大型の模型(「十四中記者体験」記事写真参照」)他、絵画、彫刻などが展示されている。元来器用で感性豊かな木嶋会長の才能に磨きをかけたのは、厳しい疎開先での日常で心の支えとなった長野の美しい自然であった。現在、木嶋会長は足立区立郷土博物館グループ「足立の学童疎開を語る会」会長として、毎年夏に区庁舎アトリウムにおいて「平和に関する資料展」を開催(足立区原爆被害者の会主催「原爆・平和・戦争を考える展示会」同時開催)。
「学童疎開を体験したことで、何事にも耐えうる心身を培った」と語る木嶋会長は、蔵前工業高校に進学後、保健所での消毒係、工具卸業など様々な業種のアルバイトを経験。卒業後に大手万年筆会社に就職したが、持ち前のチャレンジ精神が頭をもたげ、オートバイのゴム製品を扱う会社に転職。そして、23歳の時に小売店に積極的にゴムパーツ商品を売り込む問屋として独立した。以来、常に新商品を求めて現場の声を聞き、調査・研究を重ね続ける開発人生を送ることになるが、その根底には心の師・松下幸之助氏の存在がある。
木嶋会長が一代で興した㈱キジマは、現在、モーターレク総合開発メーカーとして業界第2位の企業に発展。社長を継いだ長男・孝一さん、優秀な社員一同、取引相手、そして木嶋会長の人生を献身的に支えてきた妻のヨシ子さんと家族に、日々感謝の想いを抱く木嶋会長。
その行動力と好奇心全開で、新たなチャレンジを模索中だ。