足立朝日

Vol.197石見神楽 東京公演 第5弾

掲載:2019年1月5日号
絢爛豪華な匠の技と舞の融合

 「天に舞い地を駆け巡りて」をタイトルに、「石見神楽 東京公演」が来年6月、シアター1010で上演される。
 登場するのは、島根県浜田市の亀山社中。同県西部に伝承される石見神楽の中でも、特に注目を浴びる創立20年の若い社中であるが、それゆえにエネルギーに満ち溢れたパワフルな舞は、他の追従を許さない。
 神楽とは、日本神話の「天の岩戸隠れの段」でアメノウズメノミコトが舞った舞が起源とされ、石見神楽は、室町時代後期から舞われているといわれる。現在、石見地方には130を超える神楽団体があり、亀山社中は八調子のリズミカルなテンポに乗って舞と奏楽を観客に届ける。それらは観客の心を軽やかにし、まるで眠っていた日本人のDNAを目覚めさせるかのように働きかける。
 メンバーは皆、幼い頃から石見神楽に触れ、娯楽は神楽という日常生活で、舞や囃子が当たり前という環境で育った面々。中には、亀山社中の石見神楽に魅せられて、親元を離れて浜田市の高校に「神楽留学」を果たし、現在、舞い手として活躍中の若者もいる。
 人の人生を変えてしまうほどの石見神楽の魅力のひとつには、金糸・銀糸を贅沢に織り込んだ絢爛豪華な衣装と、迫力ある和紙の面。創り手の匠の技は、息を呑む美しさと力強さに溢れている。
 今回、第5弾東京公演を迎えるにあたり、夜の部に新たな演目「八十神」を取り入れた。因幡国に住む八上姫に八十神たちが求婚するが、姫は大国主命を選ぶ。怒った八十神たちは、あの手この手で大国主命の命を奪おうとする――。
 また、昼夜通しで登場する「大蛇」は、様々な姿に変化する独創的な大蛇の舞が圧巻で感動的だ。その他演目は次の通り。ナマの迫力と、まばゆい美しさを堪能できる優雅な時間をぜひ家族で!
▼1部(昼公演)=荘厳な「儀式舞」、牛若丸と弁慶が出会う「五條橋」、「大蛇」、天照大御神が再び地上に光をもたらす「岩戸」、鯛釣りを楽しむ「恵比須」、もののけ退治「頼政」▼2部(夜公演)=「儀式舞」、異界の頭を天皇が成敗する「塵輪」、「八十神」、悪狐退治「黒塚」、「大蛇」
【日時】6月1日(土)11時、15時30分【前売料金】S=5500円、A=4500円、B=3500円、フレンズ10%引【チケット】TEL5244・1011