足立朝日

Vol.199 千住落語会 桃月庵白酒独演会

掲載:2019年3月5日号
本格古典に酔いしれる幸せ

 性格の良さが風貌に現れている代表格、「桃月庵白酒」師匠がこの5月、「酔わせて魅せます」をタイトルにシアター1010で独演会を行う。
 早稲田大学落語研究会で落語と巡り会った師匠は、1992年4月、憧れの 五街道雲助師匠に弟子入り。シャレの効いた前座名「五街道はたご」として、同年6月には早くも上野鈴本演芸場で初高座を務めた。
 1995年に二つ目に昇進し、「喜助」に改名。2005年に真打に昇進し「桃月庵白酒」を襲名する。受賞歴も鮮やかだ。1999年、北とぴあ若手落語家競演会奨励賞、2005年 第10回林家彦六賞、2011年・平成22年度国立演芸場花形演芸大賞、同年・平成22年度彩の国落語大賞など。
 2014年には、国際交流基金「文化芸術交流海外派遣助成」事業を受けて、スイス、チェコ、オランダ、デンマークで高座を行い、日本文化の伝道師として大成功を収めた。
 落語以外の活動も盛んだ。第24回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門の作品賞を受賞した「ももいろそらを」では、小林啓一監督にその独特な面白さと雰囲気を気にいられて「印刷屋のおやじ役」で出演。同監督による「ぼんとリンちゃん」では、友人探しに奔走する主人公に協力するネットカフェの住人をほのぼのと好演。OTONANOネットラジオ・プログラムでは、師匠が日々感じていること・思っていることを「白酒のキモチ。」でネット配信中。ざぶとん亭風流企画主宰のフリープロデューサー・馬場憲一さんとの穏やかで脱力した掛け合いが大人気で、2月22日には「やはり猫が好き。」をタイトルに、更新94回を迎えた。今、おススメのインターネット番組だ。
 師匠の特徴は、何と言ってもそのソフトで耳に優しい声。それでいながらよく通るのは、過去に合唱団所属!? いやいや、高校時代まで続けた野球に秘訣があるようだ。
 高座では、ちょっぴりブラックな枕に導かれ、展開する本格古典落語の世界。密かに「未来の人間国宝」と称されるゆえんだ。当日の演目は「不動坊」ほか2席。
【日時】5月30日(木)午後7時
【料金】3500円、フレンズ料金あり。未就学児入場不可
【チケット】3月2日(土)10時一般発売開始TEL5244・1011