足立朝日

便秘症・痔疾患　迷わず受診を

　日本では、今や７人に１人が慢性便秘症に、かつ３人に１人が痔疾患に悩んでいると言われている。いわば、国民的なこの病気に専門的に対応している病院が足立区にもあり、日暮里舎人ライナー「扇大橋」傍、ホテルや婚式場に間違われる瀟洒な建物の「寺田病院」（寺田俊明院長）も、そのひとつである。
　各科のエキスパートが揃う同病院で、毎週土曜日の午前中、胃・大腸肛門病センター「肛門科」の診療を担当するのは「山名哲郎医師」だ。ＮＨＫ「ためしてガッテン！」や「あさイチ」での「スーパー便秘」についての解説で、顏を知る読者も多いことだろう。独立行政法人 地域医療機能推進機構（ＪＣＨＯ）東京山手メディカルセンター（旧社会保険中央総合病院）大腸肛門病センター部長として、肛門疾患、機能性疾患（便秘、便失禁）、大腸癌、炎症性腸疾患の診断と治療を専門分野に、最先端の技術と知識をもって患者に向き合う。その傍ら、順天堂大学の客員准教授、埼玉医科大学の非常勤講師として外科医の指導に当たり、後進の育成に励む。
　さらに、前述の寺田病院、築地の聖路加国際病院でも診療を担当し、外国人の患者には流暢な英語で対応する。各学会・研究会にも熱心に取り組み、休みなく学び、真摯に医療に向き合う姿が、患者や周囲からの篤い信頼を得ている。山名医師の話は明快だ。
　「排便が３日以上ない場合や、週に２回以下なら便秘といっていいでしょう。便秘の人の中には直腸に問題があり、下剤や食物繊維が逆効果になるスーパー便秘（直腸性便秘）の可能性があります。また、お腹の痛みや張りが強い人はストレス性便秘（過敏性腸症候群）である可能性が濃厚です。最も多いのは弛緩性便秘で、大腸の蠕動運動が弱くなると起きやすくなります。さらに、長年いきんで排便したり、座位の多い生活をしているといぼ痔に、硬い便を無理に出そうとすると切れ痔に、便中の細菌に感染すると痔ろうになる可能性もあります。血便や腹痛などの陰に、大腸癌などの重大な病気が隠れていることもあるので、不調を感じたら専門医にかかることをぜひお勧めします」
　山名医師の穏やかな語り口と慈愛に満ちた眼差しが、受診をためらう患者の心を優しく包み込む。寺田病院の医師・スタッフ一同の「患者の力になりたい」という熱い想いが、日々の診療と対応に溢れ出ている。　
　年末の診療は12月28日（土）正午まで、年始は１月４日（土）から。TEL３８９８・５２３１。詳細は同院ホームページ。

写真撮影＝戸波純