足立朝日

芭蕉像鎮座を記念 俳句と芭蕉の魅力を語る 俳聖の火・分火式も

掲載:2020年1月5日号
 「芭蕉旅立ちの地 俳句を語る集い」(郷土博物館、足立史談会主催)が12月8日(日)、学びピア5階の研修室で開かれた。
 千住は江戸の俳聖・松尾芭蕉がおくのほそ道に旅立った地であることから、芭蕉生誕の地・伊賀上野市から伊賀焼の芭蕉像が区に寄贈された。「正副」2体のうちの1体で、「正」は伊賀上野の俳聖殿にある。長いこと日の目を見ずにいたが、有志の活動が実り昨年7月、学びピア1階の入り口付近にガラスケースに収められ、安住の地を得たことを記念して開催した。
 開演30分前には、学びピア玄関で「俳聖の火 分火式」(郷土博物館主催)も行われた。松尾芭蕉ゆかりの自治体・団体による「奥の細道サミット」が、芭蕉旅立ちから330年の節目にあたる昨年、「奥の細道紀行330年記念事業」として伊賀上野市の上野天満宮で採取した俳聖の火を持ったキャラバン隊が、全国の33自治体所を巡った。荒川区から足立区には10月13日(日)のあだち区民まつりで分火される予定だったが、台風でイベントが中止になったためこの日となった。
 セレモニーでは大垣市から足立区長あての親書が贈られ、荒川区の石﨑課長から分火。区長代理の濱田良光地域文化課課長が「他の自治体と手を取り合って芭蕉の機運を高める」との宣言を読み上げた。
 「集い」は約50席が満席の中、相川謹之助・足立史談会副会長の司会で進行した。主催者を代表して、網野孔介足立区立郷土博物館館長と堀川和夫足立史談会会長が挨拶。堀川会長は「それぞれの会の人が一堂に会する貴重な機会。俳句の皆さんの拠りどころとなるように願う」と述べた。
 続く講和では、区内で俳句に携わる活躍をしている講師が登壇。足立俳句連盟顧問・青山丈氏、一茶祭り炎天寺住職・吉野秀彦氏、足立俳句連盟会長・小谷武生氏、学校俳句研究会の教員らがそれぞれのテーマで俳句について語った。
 本紙2面「あだち俳壇」選者の日本伝統俳句協会顧問・柴原保佳氏は「俳句人生を語る」のテーマで講演した。父の影響で俳句を始め、学童疎開先で季語もわからないまま初めて詠んだ句や、初めて父に誉められた「元旦の見上げた空は新しき」を披露。大学で師事した土屋文明氏に「西には商人の俳人がいるが東にはいない」と背を押され、家業の扇子屋を継ぎながら俳句の道を進んだことなどを語った。
 講演後は、この日のために公募で65人から寄せられた86句から、青山、柴原、吉野、小谷の各氏が選んだ入賞句と特選句が紹介された。
〈特選〉※敬称略
▼翁忌の千住の路地を深く入る(別府優)
▼小春日や鎮座あらたむ芭蕉像(杉澤いづみ)
▼千住たつ蕉翁像や鳥雲に(馬場馬子)

写真上/これまでの俳句人生を語る柴原氏=学びピアで
下/芭蕉像の前で、濱田課長(左)と石﨑剛荒川区産業経済部観光振興課長=同