足立朝日

子どもの居場所「専念寺書道教室」

掲載:2020年4月5日号
 新型コロナウイルスにより、自由な活動が制限される今、子どもたちにとって「なくてはならない居場所」がある。望月泰暉師範が主宰する「専念寺書道教室」だ。師範は台東区の高風会(今泉聴心会長)に所属し、書道のみならず墨絵の研鑽も積んでいる。
 毎週火曜日・水曜日に、専念寺幼稚園(関原3-3-21/川口法之理事長・石井彰子園長)3階で書道を指導。現在、幼稚園は春休み中だが、通常午前中は、同幼稚園の年長児を対象に書道の授業を担当。園児が姿勢を正して、黙々と筆を動かす様子が清々しい。午後2時30分からは幼児・小学生の部、夕方から午後8時までは、中高生・大人の部を指導するというハードスケジュールだが、師範は「全く苦にならない」と笑う。
 マスク姿の幼児・園児・小学生が元気よく挨拶をして入室すると、師範が相好を崩して子どもたちを迎える。正座した子どもたちが、師範特製のお手本を見ながら、熱心に筆を動かす。その合間に師範の傍に歩み寄り、書き上げた習字を添削してもらいながら、大きな花まるに笑みを浮かべる。中には「先生、あのね」と堰を切ったように、その日の出来事や友だちの話をする子どももいて、師範は相槌を打ち、子どもたちを抱きしめながら話に耳を傾ける。
 まるで、祖母と孫の幸せな日常がここにあるような錯覚さえ覚える。子どもの傍らには母親が寄り添い、自らお習字を指導。母子が共に筆を動かす様子が微笑ましい。母親にとっても、ここが心地よい居場所であることが感じ取れる。
 「私は、頑張るとか、根性とかが苦手なの。全て楽しみながらやりたいので、子どもたちにも自由にやりなさいと話しています。文具やハンコ、色々な用紙を置いておくと、子どもたちは自分から書きたいと思うようになるの」と話しながらも、師範は子どもたちに目配りし、今、何を欲しているかを瞬時に判断。例えば筆ペンを見ている子どもに「どう? 書いてみたい?」と声掛けし、意欲を引き出す。
 まるで望月マジックを見ているようだが、それをさりげなくサポートするのは、息子の一男さんだ。「かず先生」と呼ばれる一男さんもまた、同幼稚園出身で、子どもたちのアイドル的な存在。同書道教室では、新年会・各種著名書道展出展・文字入りうちわ作り・昇級試験など、様々な行事を通じて、親子二人三脚で子どもたちの成長を見守っている。
 書道教室見学・体験自由。直接会場へ。

写真/高風会の書道展 甲骨文を出展した望月師範