足立朝日

NEW! わたしとあなたの足立・橋・物語No.1

掲載:2020年4月5日号
尾竹橋
(千住桜木2丁目)

橋長 130.3m
架設 平成6年(1994年)
構造 鋼3経間連続ローゼ橋


 早々に皆様からたくさんの投稿をいただき、ありがとうございました。その中から綾瀬在住の武村様、三鷹市在住の青野様のお手紙から尾竹橋を選ばせていただきました。
―竹村様のお手紙―
 荒川区町屋に住んでいた子供時代、荒川河川敷へよく遊びに行きました。尾竹橋をわたる時、眼前のお化け煙突の威容に圧倒されたこと、今でも忘れません。
―青野様のお手紙―
 83・3mの煙突は、遠くから、電車や汽車の中からも眺められ、その姿は勇ましく、それでいて、時にふっと哀しげな表情を川面に映していた。岸辺には、いくつもの石炭がらの山が出来ていた。近づいて登り始めた。一歩上がると、足裏の石炭がらが沈んで、ズルズルすべりそうになった。目前の橋、それは尾竹橋だった。
―大淵澄夫の現地探訪―
 故人となられた千住の絵馬屋のご主人・吉田さんから記念にいただいた写真が私の部屋に飾ってある。コークス時代の煙突と橋の風景は、今私の宝物のひとつになった。先日、久しぶりに尾竹橋を訪ねた。古写真の撮影地の前に立つ。水色のアーチ型橋はスマートになり、ハンガーロープ仕様になっていた。左岸の大学の屋上部に円筒状の建屋を発見。これは煙突を意識したデザインなのかと、思わず苦笑、橋の観察をする。橋を渡る人、自転車、バスの姿は吉田さん写す時代から65年を経ても、どこか似た流れ、空間の同時性を、しみじみ感じさせる優しい表情があった。