足立朝日

創業50周年 先代社長のことをつづった本「親父の証明」を出した 中央シャッターの 市川 愼次郎 社長(44)

掲載:2020年5月5日号
創業者を風化させない

 「社員に常々言っているのは『新しい葉や枝はどんどん伸ばすけれど、幹は変えない』ということです」――市川社長の口から出て来る言葉は、すべて「見出し」になるようなものばかり。それも、単なる美辞麗句ではなく、実践に裏打ちされた中味の詰まった重い言葉である。
 綾瀬6丁目に社屋を構える㈱中央シャッター、㈱横引シャッターは、今年2月11日(火・祝)に創業50周年を迎え、浅草ビューホテルで盛大な記念式典を行った。
 「いやあ、コロナの非常事態宣言が出る前で良かったですよ。社員35人と来賓の方たちで固い絆を固め合いました」。こう語る市川社長は、先代で父親である創業者の文胤氏を彷彿させる巨漢を揺らし、人懐っこい笑顔で語った。
 街角や駅などで良く見かける横引き開閉のシャッターを造り続けて半世紀、同社は足立ブランドを代表する企業の一つとして気炎を吐いている。
 今回、50周年を一つの節目として写真のように市川社長が手に持つ「親父の証明」(非売品、157頁、プロスパー企画)という本を出した。「50周年とか100周年とか言うと、だいたい社史を出すとか記念品に時計とか言うのが定番ですが、私は『創業者を風化させない』をスローガンにしているので、その心を文字にして伝え続けよう、と出版したんです」と市川社長。
 「息子が語る先代の姿」から始まり「社員が語る…」「営業部長が語る…」というその内容は、創業者をめぐるエピソードがいっぱい。
 それも、先代や自分を敢えて「落ちこぼれ」と書く大胆さ。「創業者というと、とかくスーパーマンのように神格化するのが常。でも、そうしたくなかった。ありのままを見て欲しかった」
 「父親を乗り越えようなんて思ったことは一度もない」「社員は家族」――。これらの言葉の奥に、父親への尊敬の念、家族や社員に対する熱い熱い思いが込められている。
【メモ】㈱中央シャッター=TEL3605・0700、綾瀬6-31-5