足立朝日

足立区女性団体連合会 新会長に就任 片野 和恵 さん(61)

掲載:2020年7月5日号
女性を力づける団体であり続けたい

 バイタリティのある人は軽やかだ。未来を縛る既成概念も、立ち塞がる壁の存在も感じさせず、柔軟に実現していく。
 「女団連の可能性を感じた。次の世代に繋いでいかなくちゃいけない」
 入会からわずか6年。6年ぶりの会長交代で、これまでベテランが務めてきた大役に、6月に就任した。
 英語教室を営む傍ら、国内外で子どもの貧困問題に取り組んできた。インドネシアのバリで図書館と児童館を設置したのを始め、タイではスラム地区で教育活動。その後、足立区の相対的貧困の実態を知り、2013年にリエゾン・アダチ(NPO法人LILA子どもの学びを支援する会)を設立。様々な団体や行政とと連携して事業を行ってきた。
 昨年5月には主権者教育の必要性を痛感し、「政治の大切さを教えたい」と区議選に出馬。生徒や知人たちが政治に関心を持ってくれたことが、何よりの成果だ。「いい選挙とは社会活動だと教わった。落ちても恥ずかしくない」と胸を張る。
 女団連のことは入るまでは「ウーマンリブの団体だと思っていた」と苦笑するが、先輩たちに一から教えられ学ぶうち、子どもの貧困問題は社会構造による女性問題でもあると認識。今まで見えていなかった女性の生きづらさが見えてきたという。
 男女平等は女性のためだけでなく、誰もが生きやすい社会への道筋だ。女団連はそれを学び広める役割を担うことのできる貴重な存在でありながら、一方で外から見えにくい、知名度の低さなどの弱点がある。
 「設立から34年間で女性が変わってきた。時代の変化についていけていない。女性をエンパワメントする(力づける)団体であり続けたい」。一昨年は「女性フェスティバル」の名称を、男性も参加しやすい「Lフェスタ」に変更を提案し実現。SNSでの発信など、しなやかな組織変革に向けて挑戦する課題は多い。
 コロナ禍による食の支援や避難所等の問題に対し、現場同士のつながりの必要性も痛感。会長職とは別に区内NPO団体の代表らとNPO連絡協議会の設立も計画中だ。
「課題を解決するのが好き。終わりがないし、失敗から学ぶ」。飾らない口調と笑顔が、未来への希望に満ちて頼もしい。