足立朝日

「観光地・千住」に人を呼び込みたい

　「北千住」「ＳＥＮＪＵ」のロゴが入ったＴシャツやマグカップ――棚に並んだ数々のグッズに、観光地にいるようなワクワクした気分になる。
　「千住みやげを作りたい」と鈴木さんが考案し、ｓｄコーヒーで販売。特に有名衣料品ブランドをもじった「ＴＨＥ　ＮＯＲＴＨ　ＳＥＮＪＵ」は秀逸だ。３本の虹の代わりに３本の煙突がデザインされていて、かつての千住のシンボル「お化け煙突」がわかる人にはたまらない。　「銭湯カフェ」として知られる店内には、銭湯絵師が描いた富士山、千住の「梅の湯」ののれんやグッズもあり、桶入りホットドックや牛乳瓶入りシェイクなどのメニューもユニークだ。
　結婚を機に千住に住んで18年。店名の「ｓｄ」は、静岡県の実家が営む「鈴木電機店」と「銭湯大好き」の頭文字。「地域とのコラボで地域貢献したい。地域といかに密着して商売をしていくか」。地元と銭湯への恩返しと話す。
　客はほとんどが女性で、遠方から来る人も多いが、緻密な戦略の結果だ。ＳＮＳの活用はもとより、「世田谷や大田区など、都の西側に絞って発信をしている」という。
　鈴木さんには地域、足立区全体を盛り上げたいという、強い思いがある。「千住は観光地」と断言。「北千住の名前は知っていても、来たことがない人が多い。行ってみたい街、ということを地元の人が再認識して、どう地域をブランディングするかが大切」
　的確な分析は、積み重ねてきた経験に裏打ちされたもの。Ａｍａｚｏｎで16年間、広報戦略を担ってきた自信がある。今年春に退職し、コンサルティング業を主とした「鈴木電機ジャパン㈱」を設立、店と二足のわらじを続けている。
　最新グッズは、昔懐かしい土産「ペナント」。千住の様々な名物をイラストで詰め込んだ。今の時代、細分化した価値観や好みを拾い上げることが、強みになる。「買いたくなるのは嗜好品。異業種の方ともやっていきたい。うちだけでなく、地域みんなで作っていきたい」
　鈴木さんのマーケティング力とアイデアに地元の力が加われば、足立区を盛り上げていく大きな力になるに違いない。
【ｓｄコーヒー】千住４‐19‐11、TEL６８０６・１０１３、平日11時半～17時、土日祝11時半～18時、月曜休

写真／新商品は懐かしのペナント