足立朝日

ボート競技「U19アジアジュニア日本代表」 沢目 真直 選手(17) 西綾瀬在住

掲載:2021年6月5日号
日本ボート界の逸材 世界へ

 第32回全国高等学校選抜ボート大会「第3位」、第69回お花見レガッタ成人の部「準優勝」、第66回中日本レガッタ大会成年の部「優勝」、U19アジアジュニア日本代表選手選考レース「準優勝」及び「日本代表決定」……これらは、今春行われたボート競技の結果だ。
 その輝かしい成績を叩き出した主は、沢目真直選手、17歳だ。年齢的には少年であるが、筋骨隆々たる鍛え上げた体格は、「青年」を通り越し「大人」の域に達している。
 幼い頃からスポーツ万能で、体力測定では常にトップであった沢目選手は、中1の時に「東京都トップアスリート発掘育成事業」に応募。沢目選手はじめ中3までを含めた30人が、厳しい3次試験までを突破した。7種目を体験後、トップアスリートになるための講座、アスレティックトレーナーによるトレーニングを受け、自分の適性がボートにあることを知った沢目選手は、同強化プログラムに参加。中2の1月からSRC(隅田川ローイングクラブ)で練習をスタートし、わずか半年後には「全日本中学選手権大会ダブルスカル」で「優勝」という快挙を成し遂げた。
 高校進学にあたり、ボート部を持つ都立小松川高校「チーム小松川」の練習に参加することになったが、「足立区が大好き!」と明言する沢目選手は、文武両道が伝統の都立江北高校に進学を希望。しかし、同校にはボート部はなく「部」の登録がないことでインターハイと全国選抜大会には出場できないため、協議の結果、沢目選手のために「一人ボート部」が創設された。
 以来、沢目選手は「足立区と江北高校」を背負って立ち、さらに「チーム小松川、SRC、東京都、応援してくれている全ての人々への感謝・恩返しの想い」を胸に抱いて、日々苦しいトレーニングに励んでいる。ある意味で「勝たなければならない」というプレッシャーにも繋がるが、沢目選手にはそれを「楽しむ胆力」が備わっている。
 「今後は日本でボート競技をメジャーにして、日本のレベルはすごいと世界に認めてもらえるような選手になりたい!」――まずはこの10月、上海で行われる「アジア大会」が待ち受けている。「東京都アスリート認定選手」であり、日本ボート界の逸材である沢目選手は、精悍な顔を引き締める。
 実は、沢目選手の母親は、昨年本紙9月号で紹介した民謡歌手の小山みつなさんだ。民謡を子守唄に育ち、幼少時から民謡伴奏の太鼓、日舞を習得し、母と共に舞台に立ってきた沢目選手は、中1から津軽三味線にも挑戦。現在、吉田兄弟の吉田良一郎氏に師事し、全国大会芸歴5年以内の部門で「準優勝」を獲得。
 「大学で資格を取り、将来はスポーツの世界で人を育てる仕事に就きたい!」という夢を温めつつ、スポーツと文化を担い、世界へはばたく日に向けて走り続けている。