足立朝日

「学生証」の提示で 「大盛り無料」の「学増し」を展開する 富井 真介 さん(39) 千住4丁目「キッチン・デリコッペ」店主

掲載:2021年8月5日号
学生に「楽しいこと」を提供したい

 「コロナのつまらない時代だったけど、こんな楽しいこともあったよ、と少しでも思ってくれたらと始めたんですよ」――そう話す富井さんの顔は、生き生きと輝いている。
 北千住駅西口にあるコッペパン専門店「2538キッチン・デリコッペ」の店主。同店は、5月末から「若者がワクチン接種できるまでの期間限定」で、「学生証」を提示すれば、各種コッペパンメニューの「大盛り無料」という「学増し」を始めた。
 店頭でのチラシ配布、SNS(インスタグラム)の発信により、1日に何人もの高校・大学生が来店し、話題を呼んでいる。「1年以上前から、何かできないか、と考えていたんですよ」と富井さん。
 リモート授業が幅をきかせ、運動会や学園祭、遠足、修学旅行などの行事がなくなり、学校は本当につまらなくなった。未来を生きる子どもたちに、少しでも希望を持ってほしい――そんな思いが、富井さんを突き動かした。
 コロナ禍でのこうした企画は、2回目。昨年、小・中学校が一斉休校になった時、デリコッペや傘下の「ビストロ2538」などで、日替わりのメニ
ューを弁当にした「子ども弁当」を作り、250円で販売した。給食替わりだ。「小さいお子さんを持つお母さんたちが困っていたので、喜ばれました」。店にとっては、当然原価割れだったが1カ月続けた。
 一昨年1月、親会社「㈱シーセカンド」の社長に就任。以来、「コロナ」との闘いが続く。「本当に鍛えられます」と苦笑するが、明るい。「人を笑顔にするのが好き」「お客が望むものはすべてする」。発せられる言葉すべてが富井さんを語る。
 ソムリエ、公認きき酒師になったのも、「お客が望んでいるから。その方がワインやお酒が美味しくなるでしょう!?」。なかなかである。
 区立長門小、十二中、足立高校出身の下町育ち。
【メモ】「デリコッペ」は、千住4-19-16、TEL3870・5600