足立朝日

羅針盤 VOL.125

掲載:2022年2月5日号
 年始、友人にちょっとした「事件」があった。
 その友人、朝の通勤途中、近所のUR団地での用を済ませて帰ろうとすると、「すいません!」と背中から声。
 団地の部屋番号を押すパネルの前で、高齢女性を抱えるようにして、高齢男性と大学生といった感じの男性が「このお婆さんが、倒れていたので起こしてあげて聞くと、部屋番号を忘れていて戻れないんです。このドアを開ける方法わかりますか?」とのこと。
 2人とも、この団地の住人ではなく、また、どこにもUR団地の連絡先の記入がなかった。そこで友人「どこかの部屋番号を押して、いた人に事情を話せば、きっと飛んで来ますよ」とアドバイス。あっけなく一件落着。
 友人は仕事があったのでその場を離れたようだが、あの善意の2人は部屋番号を忘れたお婆さんをどうやって自分の部屋に戻してあげたのか?
 「認知症、連絡システム、善意、機転……。その一日は色んなことを考えたよ」と友人。 (編集長)