足立朝日

ミステリ作家・逸木裕氏 「日本推理作家協会賞」受賞

掲載:2022年6月5日号
 この春まで足立区に在住し、執筆活動に勤しんだ新鋭のミステリ作家・逸木裕氏の短編小説「スケーターズ・ワルツ」が、第75回 日本推理作家協会賞〈短編部門〉(主催=一般社団法人日本推理作家協会)を受賞した。
 同書は、「小説 野性時代」(2021年2月号)に掲載され、さらに「五つの季節に探偵は」(2022年1月KADOKAWA刊)に収録された短編。後者は、足立朝日2月5日号「この本」欄で紹介した精緻でビターな短編集だ。
 人の心の奥底を覗き見たい。暴かずにはいられない――厄介な性格の探偵「榊原みどり」は、旅先で出会った女性ピアニストから「スケーターズ・ワルツ」にまつわる「天才指揮者」と「ピアノ売り」の物語を聞かされる。そこに罪の意識を感じ取ったみどりは、彼女の話に隠された秘密に気づく――。ラストの展開に「あっ」と驚く仕掛けがあり、逸木ワールドを堪能できる。
 逸木氏は、今回の受賞について次の喜びの言葉を寄せた。
 「足立朝日新聞の読者の皆様、いつも応援していただきありがとうございます。日本推理作家協会賞は私の大きな目標のひとつでしたので、今回賞を賜り本当にうれしいです。よりよい作品を書けるよう、今後も頑張ってまいります」
 同氏のさらなる活躍に期待したい。

写真上/逸木氏(撮影=古本麻由未氏)
下/同書に「スケーターズ・ワルツ」を収録