足立朝日

栃木国体サウンドテーブルテニスで 金メダルを獲得した 原 則子 さん(74) 東和5丁目在住

掲載:2022年12月5日号
生きる活力を取り戻しました

 「集中して、集中して、いやなこと、悲しいことを吹き飛ばしました。球を打つことによって、困難を乗り越えて来ました」――こう話す原さんの言葉は生き生きとしていた。
 12年前、急に視野が狭くなり、その1週間後に視覚を失った。医者は、原さんにその病名を「突発性視神経炎」と告げた。原因は不明だ。
 原さんは、当時、30年間勤めていた会社事務を定年で辞め、車の整備士をしていたご主人も同様に仕事から離れ「二人で旅行でもしよう」と話していた矢先の出来事だった。
 ご主人と3人のお子さんに支えられながらの毎日だったが、そこで出会ったのが、サウンドテーブルテニス。卓球は高校時代から始め、ママさんになってからも続けていた。「これだ!」と思い、のめりこんだ。
 持ち前の頑張り精神と運動神経の良さもあって、どんどん上達した。都大会で2位、3位と好成績を重ねた後、4年前に1位となり、茨城国体に出場が決まっていたが、台風の影響で中止に。
 2年前、原さんをがっちり支えていたご主人が病死。大きなショックだったが、それを乗り越えての栃木国体出場、ブロック優勝だった(下記記事参照)。「応援を楽しみしていた主人も、きっと天国で喜んでいると思います」とニッコリ。
 11月に大阪であった第18回全国大会は、長野県代表に敗れベスト8だったが、気持ちはすでに来年の全国大会、再来年の佐賀国体へ。
 社会活動にも力を入れ、5年前に視覚障害者の交流会『「サークル響き」おしゃべりサロン』を立ち上げ、月に1回のお茶飲み会を開いている。
 「とにかく前を向いて行きますよ」と語る言葉に力がこもっていた。