足立朝日

羅針盤 VOL.140

掲載:2023年5月5日号
 5月と言えば人々の関心は「旅」。
 俳聖・松尾芭蕉が千住大橋そばから「おくのほそ道」の旅に出発したのが、今から334年前の江戸・元禄2年(1689年)旧暦の3月27日で、この日は新暦では5月16日。やはり、当時の芭蕉も旅をするのに最適な時を選んだのだろう。 
 最近「北落師門」(南の魚座の首星・フォーマルハウトのこと)という10年ぶりの句集を出した俳人の黛まどかさんは、確か20年ほど前に、彼女主宰の句集の企画で女性だけでこの「おくのほそ道」を踏破した。当時、その旅立ちの写真を撮りに千住大橋まで行った記憶がある。
 小生も旅と俳句が好きで、5年前の7月に芭蕉が詠んだ「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の「蝉がミンミン蝉かニイニイ蝉か?」(蝉論争)を調べに、山形市の立石寺に行ったことを思い出す。
 蝉は鳴かず、答えは不明のままだったが、その正解は、当日現地で行われた「全国俳句山寺大会」での貫主の「今朝もニイニイ蝉が鳴きました」の挨拶で分かった。旅はいいものである。   (編集長)