足立朝日

えだまめ栽培歴87年 増田 久助 さん(95) 西保木間2丁目在住

掲載:2023年8月5日号
おいしい枝豆作りたい

 「スーパーに、近くの農家が作る枝豆が出回りますが、あっという間に売り切れます」――。テレビの足立区竹の塚地区特集などで必ず登場するのが、今回紹介する増田久助さんが作る枝豆だ。
 西保木間2丁目には約2000㎡もある増田さんの畑が広がっている。今年は6月中旬~8月中旬、ほぼ毎日、午前8時頃から11時頃まで、区で登録する農業ボランティアや長男の和雄さん(68)とともに枝豆(品種=味風香)を収穫する。収穫後すぐに隣接するスーパー「サンヨウ」に出荷される。
 御年95歳、眼前にはつやつやした肌をした増田さんが座っている。「毎日、起きたら当たり前のように働いて、当たり前のように食べて、寝て、気が付いたらこの年だよ」と増田さん。「規則正しい生活」と「何でも食べる」が基本。連日続く猛暑にも「人間は困るけど、豆は喜んでいるよ」と笑う。その「自然体」が長生きの秘訣と見た。
 この地に代々続く農家の7人兄弟(妹)の2番目に生まれた増田さんは、当時の淵江尋常小学校の3年生の頃から放課後に農作業を手伝うようになった。増田さんが小さい頃、足立区には枝豆農家が多かった。
 終戦後、増田さんは「よりおいしい枝豆を作ろう」と研究を重ねていく。近所のそば屋からダシに使った後のかつお節をもらい、乾燥させてから粉砕し肥料としてまくなどの努力で、甘みが増した。「日本一の枝豆なんて言わないけど、同じ品種なら味じゃあ負けないよ」と言う。
 趣味は旅行。ヨーロッパ10カ国など16カ国を回った。「新しい物が見られるからいい」。探求心が旺盛なのも長生きに貢献している。「100歳まで生きるなんて言わないよ。120歳までだ」。たわわに実った枝豆を抱いて破顔一笑。こちらまで元気になった。