足立朝日

サウナ音楽を制作 サウンドクリエータ―&プランナー 大戸裕雄(Auto Tent) さん 足立区在住

掲載:2024年5月5日号
銭湯の力になりたい

 濃密な湿度と熱気の中で、波のように流れる音楽はその圧力を和らげてくれる。大戸さん行きつけの「ホーム銭湯」である若松湯(中央本町2‐19‐11)のサウナで流れる音楽が、利用者に好評だ。
 出身は千葉県の九十九里で、10年ほど前、仕事の関係で足立区に。「今は友人も出来たし、ずっと住んでいると住みやすい」と第2の地元になっている。
 ヒップホップやテクノなどの電子音楽が好きで、大学時代にライブハウスでアルバイトをしている頃に楽曲制作を始めた。初めは音楽の仕事だけだったが、様々な相談に対応しているうちに、フリーランスでイベント企画も請け負うようになった。
 CMやYouTubeの映像、九州朝日放送のニュース番組「しりたか」のBGMに起用されるなど、活躍は幅広い。ここ数年は池袋PARCOの都市型屋上音楽フェス「ChillCity」を担当。今年3月は広島PARCOの30周年イベントを手がけた。映像効果を巧みに使った空間が、多くの若者たちを魅了している。
 この常連客の仕事内容を知った若松湯の山田店主が、商店街のイベント協力を依頼。五反野駅前通り銀座会の音楽イベントで、ポスター制作や手順などを担当した。
 サウナミュージックを始めたのは、2年ほど前。渋谷の銭湯と飲料メーカーのコラボ企画で、サウナで流す音楽の募集に応募し起用されたのがきっかけで、今ではグランピング施設やテントサウナにも提供している。
 コロナで遠出が出来なくなった時に、区内のいろいろな銭湯に自転車で行ってみたことも、サウナ音楽の制作に影響。「銭湯がどんどん減っているので、何かしら自分が関わることで応援できないかと思った」。頼もしいことこの上ない。
 そして、酒好きの大戸さんにとっての足立区の魅力はもう一つ。「居酒屋。個人店が多くて、美味しいし価格も手軽。自分で探す楽しみがありますね。気取らずに生きていけるのが、いいところですかね」と軽やかに笑う。
 感性を駆使し、電子音で解放感を表現する大戸さん。語る声が深くゆったりと響くのは、心地よい音の波を常に追求しているからかもしれない。
★右のQRコードから様々な活動内容、YouTubeが見られる。ギタリストmstさんと「Auto&mst」名義でも活動中。