足立朝日

小津監督の「東京物語」のロケ地
赤い屋根の可愛い駅舎　千住曙町「堀切駅」
　数年前、利用客のために構内のトイレを改良して、外使用の工事が始まった。高原風の小さな建物前にドーンと顔を出したのである。唖然とした。名映画監督小津安二郎の「東京物語」のロケ地の代名詞的な風景が今風の便利さ優先が勝って悪い後味が残った。
　私が千住に来た時、真っ先に堀切駅を見に行った。左側には大きなヒマラヤ杉が高く茂り、高原の雰囲気を醸し出していた。沿線第一の可愛い駅と思っていたが、強風で大木は倒れ、その後植樹はなかった。
　便利な建物には今一つ考慮があって欲しかった。歌川広重の「名所江戸百景」の中に「綾瀬川鐘か渕」がある。筏師と合歓の花が描かれている。この地は合歓の花の名所だったという。駅前に合歓の花は似合うと思った。