犬も飼い主も一緒に、おいしく食べられるお菓子があったら――。
そんな犬好きの夢を叶えるクッキーを、帝京科学大学(千住桜木)と、焼菓子店「アラカワホルム」(千住元町38―6)が共同で開発した。
同大学近くにあるアラカワホルムは、パン教室を開いていた相田浩美さん(55)が「体にやさしいお菓子」をモットーに、米粉のワッフルなどを製造販売している。
土手が近いため犬の散歩途中に寄る客が多く、自分ももらえると喜ぶ犬を見た飼い主から「あげてもいいか」と聞かれることがしばしば。相田さんは「米粉で犬も食べられるお菓子を作れたら」と考えたが、動物の食材や栄養については門外漢。そこで、人を介して生命環境学部アニマルサイエンス学科・小動物栄養学研究室の小泉亜希子講師を紹介してもらい相談したところ、学生の研究発表を兼ねて開発することになった。
◆硬さに四苦八苦
犬も人も安心しておいしく食べられたら「飼い主さんもワンちゃんとシェアできる」と相田さん。その思いを受けて開発に取り組んだのは、4年生の一瀬彗太さん、浄土翔さん、渡邊美玖さん、田中里奈さんの4人。昨年12月から研究を開始した。
まずは、市販の犬用おやつ約20種類を調査。アンケート調査を学生や家族、附属動物病院、アラカワホルムの客など約90人の飼い主を対象に行い、クッキーに決定した。小泉講師の指導のもと、栄養計算をしながら試行錯誤の末に、米粉を使用したオリジナルレシピを考案。アラカワホルムで相田さんとともに、試作を繰り返した。最も苦労したのは「硬さ」だという。油の量を減らしたことで、最初は硬すぎる代物に。硬度計測器で計り、試食するなどしながら材料を調整して、手で割れる硬さを目指した。
味は多数の候補の中からアンケート結果を参考に、小松菜、チーズ、カボチャとサツマイモ、プレーンの4種類を選択。小松菜はアンケートでは不人気だったが、「足立区の特産物を入れたい」と決めた。区内産の小松菜を細かくして生地に練り込んだところ、「のり塩みたいな感じで、おいしかった」と田中さん。塩は不使用だが、不思議と塩味が感じられる仕上がりになった。メンバーの飼い犬も食いつきが良く、お腹を壊すこともなかったので安心できたという。小泉講師は「犬はデータが多いので、学生たちが栄養計算を頑張った。硬さは本当に苦労した」と成果を喜ぶ。
4人に今後について聞いた。チームリーダーの一瀬さんは「帝京科学大学としても、地元のお店とのコラボは初だと聞いた。後輩にも外部とのコラボが選択肢の一つになれば」。猫を飼っている浄土さんは「猫用のおやつもできれば」。渡邊さんは「今回は嗜好性を重視して作ったので、総合栄養食として販売できるものを作れたら」と、食事用フードの開発について抱負を述べた。動物病院に就職する田中さんは「この経験を生かして、手作り食の飼い主に栄養指導をしてみたい」と希望。
◆いずれ商品化を
約10カ月かけて完成したクッキーは、九州産米粉、無調整豆乳、アーモンドプードル、水飴などがベースで、ほんのりとした甘さと香ばしさがあり、やや硬めの食感がクセになる。
10月26日(土)、27日(日)の学園祭「桜科祭」で販売し、親子連れなどが学生から説明を受け、うれしそうに購入していた。
相田さんは「甘くないお菓子を求めている人も多い。フレーバーは季節によって変えられる。噛むことは大事。自分も食べたらポリポリいけちゃう」。いずれ商品化し、自店で販売したいと話している。
【メモ】営業時間=木~日曜の午前11時~午後5時半(日曜は5時まで)
写真上/前列左から小泉講師、田中さん、
渡邊さん、後列左から浄土さん、
一瀬さん、相田さん
中/桜科祭でお披露目されたクッキー
下/地元の親子が説明を受けて購入
そんな犬好きの夢を叶えるクッキーを、帝京科学大学(千住桜木)と、焼菓子店「アラカワホルム」(千住元町38―6)が共同で開発した。
同大学近くにあるアラカワホルムは、パン教室を開いていた相田浩美さん(55)が「体にやさしいお菓子」をモットーに、米粉のワッフルなどを製造販売している。
土手が近いため犬の散歩途中に寄る客が多く、自分ももらえると喜ぶ犬を見た飼い主から「あげてもいいか」と聞かれることがしばしば。相田さんは「米粉で犬も食べられるお菓子を作れたら」と考えたが、動物の食材や栄養については門外漢。そこで、人を介して生命環境学部アニマルサイエンス学科・小動物栄養学研究室の小泉亜希子講師を紹介してもらい相談したところ、学生の研究発表を兼ねて開発することになった。
◆硬さに四苦八苦
犬も人も安心しておいしく食べられたら「飼い主さんもワンちゃんとシェアできる」と相田さん。その思いを受けて開発に取り組んだのは、4年生の一瀬彗太さん、浄土翔さん、渡邊美玖さん、田中里奈さんの4人。昨年12月から研究を開始した。
まずは、市販の犬用おやつ約20種類を調査。アンケート調査を学生や家族、附属動物病院、アラカワホルムの客など約90人の飼い主を対象に行い、クッキーに決定した。小泉講師の指導のもと、栄養計算をしながら試行錯誤の末に、米粉を使用したオリジナルレシピを考案。アラカワホルムで相田さんとともに、試作を繰り返した。最も苦労したのは「硬さ」だという。油の量を減らしたことで、最初は硬すぎる代物に。硬度計測器で計り、試食するなどしながら材料を調整して、手で割れる硬さを目指した。
味は多数の候補の中からアンケート結果を参考に、小松菜、チーズ、カボチャとサツマイモ、プレーンの4種類を選択。小松菜はアンケートでは不人気だったが、「足立区の特産物を入れたい」と決めた。区内産の小松菜を細かくして生地に練り込んだところ、「のり塩みたいな感じで、おいしかった」と田中さん。塩は不使用だが、不思議と塩味が感じられる仕上がりになった。メンバーの飼い犬も食いつきが良く、お腹を壊すこともなかったので安心できたという。小泉講師は「犬はデータが多いので、学生たちが栄養計算を頑張った。硬さは本当に苦労した」と成果を喜ぶ。
4人に今後について聞いた。チームリーダーの一瀬さんは「帝京科学大学としても、地元のお店とのコラボは初だと聞いた。後輩にも外部とのコラボが選択肢の一つになれば」。猫を飼っている浄土さんは「猫用のおやつもできれば」。渡邊さんは「今回は嗜好性を重視して作ったので、総合栄養食として販売できるものを作れたら」と、食事用フードの開発について抱負を述べた。動物病院に就職する田中さんは「この経験を生かして、手作り食の飼い主に栄養指導をしてみたい」と希望。
◆いずれ商品化を
約10カ月かけて完成したクッキーは、九州産米粉、無調整豆乳、アーモンドプードル、水飴などがベースで、ほんのりとした甘さと香ばしさがあり、やや硬めの食感がクセになる。
10月26日(土)、27日(日)の学園祭「桜科祭」で販売し、親子連れなどが学生から説明を受け、うれしそうに購入していた。
相田さんは「甘くないお菓子を求めている人も多い。フレーバーは季節によって変えられる。噛むことは大事。自分も食べたらポリポリいけちゃう」。いずれ商品化し、自店で販売したいと話している。
【メモ】営業時間=木~日曜の午前11時~午後5時半(日曜は5時まで)
写真上/前列左から小泉講師、田中さん、
渡邊さん、後列左から浄土さん、
一瀬さん、相田さん
中/桜科祭でお披露目されたクッキー
下/地元の親子が説明を受けて購入