足立朝日

折り紙のバラを展示 アートディレクター かおりん さん 竹の塚在住

掲載:2025年2月5日号
美しいものを作って心の栄養に

 見事な真紅のバラは、近づくと香りがしてきそうだ。1枚の紙を切らずに、折るだけで作られていることに驚かされる。
 CAFE RICCO(竹の塚6-13-3)には、飾られた作品を見に訪れる人や店内で作る人など、折り紙好きが集まる。
 かおりんさんは四角形の紙だけでなく、五角形に切ったものや花屋のラッピングペーパーも使う。折り紙作家・佐藤直幹氏の「佐藤ローズ」に独自のアレンジを加え、「かおりんローズ」を考案。中心を二重にすることで、奥行きのある華やかさと、「色の残像で楽しめる」ことに成功した。
 インスタで作品と制作過程を公開している。それを見て挑戦するファンや、好きが高じて紙の会社に就職した男性、レッスンを受けに地方から年2回訪れる人もいるという。折り方の本の制作も考えているが「種類が多すぎて、なかなかまとめられない」と苦笑する。
 折り紙との出会いは、同カフェ。佐藤大介オーナーから折り紙作品の「悪魔」と、作り方が載った本を見せられ、即挑戦。そこからのめりこみ、難易度の高いものを12時間かけて折ったこともある。「1回間違えると途中で先に進めなくなるので、間違えたところまで戻る。数学みたいで楽しい」
 2人目の出産時に、分娩台でクジャクを折っていたという武勇伝も。「世界広しといえど、私だけですね。痛みで途中までだったけど」と笑う。子育てで時間がなくなると、作るのは手慣れたバラのみになったが、気分転換に役立つと同時に、バラの折り方を突き詰めることにつながった。
 折り紙のバラの思わぬ効能に気付く出来事もあった。退院時に折ったバラを配布したところ、患者にも看護師にも予想以上に喜ばれた。「生花は禁止だったんですが、認知症の人も、赤いバラを見たら目がキラキラするんですよ」
 竹の塚図書館のショーケースを年2回、作品たちが彩る。「美しいものを作るのは心の栄養になる。きれいなバラを紙から咲かせられたら、満足できるし感動します。自信にもなります」
 誰でもどこでも、少しの空き時間にできる。かおりんさんの輝く笑顔が、折り紙が心を豊かにしてくれることを物語っている。
◆インスタグラム=@kaoriohashi8880 
【グループ展】3月1日(土)~31日(月)/クラフト紙を使った折り紙作品を同カフェ店内に展示(平日=9時~18時、土日祝=11時~18時、月曜休)

写真/赤いバラの作品「情熱」と=CAFE RICCOで