足立朝日

羅針盤 VOL.162

掲載:2025年3月5日号
 TV画面にトランプとプーチンの2人の大統領が出てくると、チャンネルを変える人が続出しているという。
 今国際舞台では、この2人にイスラエルのネタニヤフ首相を加えての3人が、これ見よがしに暴れ回っている――という構図である。
 ロシアは、ウクライナ全土の病院や学校、市場、集合住宅、果ては原発周辺にまでミサイルを打ち込み、イスラエルは、女性や子どもたちまでをも無差別に――ウクライナ、ガザの戦争の非道さ、むごたらしさに、世界の多くの人が胸を痛め、涙を流している。
 そこへ、嘘八百を並べて脅すトランプ大統領の登場だ。「何でも欲しがる」駄々っ子億万長者は、ますます元気。
 ウクライナへは、見舞いの一言もなく「埋蔵資源を寄こせ」。傷ついて瓦礫の中をさまようガザ、パレスチナの人々へは、周辺の国へ移住しろ、土地はアメリカが所有してリゾート地にする――と来た。
 多くの人が「悪い冗談はやめてくれ」とチャンネルを切るのも無理はない。
 「世界中の人々、ひとりひとりの涙を拭いてやりたい。人類全体を我々は一つであると感じたい」(マハトマ・ガンジー)。   (編集長)