足立区在住の作家・朱川湊人さん(62)の小説「花まんま」が鈴木亮平、有村架純主演で実写映画化。4月25日(金)に公開を控える同作について、朱川さんに聞いた。

「花まんま」は2005年に第133回直木賞を受賞した短編集の表題作。前田哲監督により17年の構想を経て映像化が実現した。朱川さんの小説が映画化されるのは、2013年の「赤々煉恋」(土屋太鳳主演)以来、2度目となる。
ホラーや不思議なテイストながら、情緒に沁みるのが朱川作品。あたたかみのある人と人の思いと、懐かしさを感じさせる情景が映像的に紡がれ、その巧みな表現で読み手を物語の世界に引き込む。
「花まんま」の舞台は著者の出身地である大阪の下町。妹を懸命に守ろうとする兄・俊樹と、ある時を境に「生まれ変わり」の記憶を持つようになった妹フミ子の過去と現在を辿る物語。小説では小学生の兄妹だが、映画は成長した2人を軸に描かれている。
朱川さんは「私自身も納得できる形になっています。原作では、妹のフミ子が救われきれてないように感じられる部分もありましたが、それを見事に昇華していただきました。むしろ私自身も救われたようで、鑑賞後は大きな幸福感を覚えました。とてもありがたいことです」と話す。
映画では兄・俊樹(鈴木)、妹フミ子(有村)に加え、フミ子の婚約者(鈴鹿央士)などオリジナルのキャラクターも複数登場する。
「とにかくキャストの皆さんの熱量がすごいです。ちょっとしたシーンにも心を配られていて、本当に素晴らしいものになっています。私の原作部分が映像化された小学生時代の兄妹が登場するシーンは、さすがに涙なしには見られませんでした。また終盤の結婚式のシーンは、鈴木亮平さんの演技が神がかっていると言ってもいいくらいです」
◆番外編の小説「花のたましい」が映画から誕生
映画化は「自分の作品に別の方の感性が加わって、自分では思いつかなかった風景が作られていくのは、なかなか楽しく、またうれしいものです」。
映画オリジナルキャラクターの一人、お好み焼き屋「みよし」の看板娘・駒子は、朱川さんが「花まんま」の番外編小説集「花のたましい」を生み出す原動力となった。 「小説の大まかなイメージは以前から私の中にあったのですが、なかなか先に進めずに放置していました。ですが、京都の撮影所に見学に行った際、ファーストサマーウイカさんが演じる駒子を見た瞬間、いきなりイメージが鮮明になって、ストーリーが動き出しました。その後、他の登場人物まで彼女に連れてこられたように動き始めて、四つのストーリーが出来上がったような感じです。思えば『花まんま』という作品を、小説の世界と映画の世界で楽しくキャッチボールした結果かもしれません」
原作と映画が互いに共鳴し、新たな作品が生み出される。映像化の理想的な形かもしれない。
最後に映画の見どころを。「ほんとに全編としか言えないのですが、イケメン鈴鹿央士さんの『ニワトリダンス』は見逃さない方がいいですよ」とのこと。連休に映画と小説で朱川ワールドを2倍楽しめそうだ。
★劇場鑑賞券を1組2名、オリジナルグッズを3名にプレゼント(4面詳細)
◆映画「花まんま」4月25日(金) 全国公開
▽キャスト=鈴木亮平、有村架純、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ、安藤玉恵、オール阪神、オール巨人、板橋駿谷、田村塁希、小野美音、南琴奈、馬場園梓、六角精児、キムラ緑子、酒向芳▽監督=前田哲(「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」「九十歳。何がめでたい」)▽脚本=北敬太▽イメージソング=AI「my wish」(UNIVERSAL MUSIC / EMI Records)
◆「花まんま」/税込836円(文春文庫)
表題作など6編。
◆「花のたましい」3月24日/税込1650円(文藝春秋刊)
映画「花まんま」のその先の世界を新たに書き下ろした小説集。駒子(ファーストサマーウイカ)の20歳の頃を描いた表題作など4編を収録。
写真上から①映画ポスター ©2025「花まんま」製作委員会
②朱川さん
③映画のワンシーン
④新刊「花のたましい」
⑤ファーストサマーウイカ演じる映画オリジナルキャラクター


ホラーや不思議なテイストながら、情緒に沁みるのが朱川作品。あたたかみのある人と人の思いと、懐かしさを感じさせる情景が映像的に紡がれ、その巧みな表現で読み手を物語の世界に引き込む。
「花まんま」の舞台は著者の出身地である大阪の下町。妹を懸命に守ろうとする兄・俊樹と、ある時を境に「生まれ変わり」の記憶を持つようになった妹フミ子の過去と現在を辿る物語。小説では小学生の兄妹だが、映画は成長した2人を軸に描かれている。

映画では兄・俊樹(鈴木)、妹フミ子(有村)に加え、フミ子の婚約者(鈴鹿央士)などオリジナルのキャラクターも複数登場する。

◆番外編の小説「花のたましい」が映画から誕生

映画オリジナルキャラクターの一人、お好み焼き屋「みよし」の看板娘・駒子は、朱川さんが「花まんま」の番外編小説集「花のたましい」を生み出す原動力となった。 「小説の大まかなイメージは以前から私の中にあったのですが、なかなか先に進めずに放置していました。ですが、京都の撮影所に見学に行った際、ファーストサマーウイカさんが演じる駒子を見た瞬間、いきなりイメージが鮮明になって、ストーリーが動き出しました。その後、他の登場人物まで彼女に連れてこられたように動き始めて、四つのストーリーが出来上がったような感じです。思えば『花まんま』という作品を、小説の世界と映画の世界で楽しくキャッチボールした結果かもしれません」
原作と映画が互いに共鳴し、新たな作品が生み出される。映像化の理想的な形かもしれない。

★劇場鑑賞券を1組2名、オリジナルグッズを3名にプレゼント(4面詳細)
◆映画「花まんま」4月25日(金) 全国公開
▽キャスト=鈴木亮平、有村架純、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ、安藤玉恵、オール阪神、オール巨人、板橋駿谷、田村塁希、小野美音、南琴奈、馬場園梓、六角精児、キムラ緑子、酒向芳▽監督=前田哲(「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」「九十歳。何がめでたい」)▽脚本=北敬太▽イメージソング=AI「my wish」(UNIVERSAL MUSIC / EMI Records)
◆「花まんま」/税込836円(文春文庫)
表題作など6編。
◆「花のたましい」3月24日/税込1650円(文藝春秋刊)
映画「花まんま」のその先の世界を新たに書き下ろした小説集。駒子(ファーストサマーウイカ)の20歳の頃を描いた表題作など4編を収録。
写真上から①映画ポスター ©2025「花まんま」製作委員会
②朱川さん
③映画のワンシーン
④新刊「花のたましい」
⑤ファーストサマーウイカ演じる映画オリジナルキャラクター