足立朝日

Vol.78-カンパニーマリー・シュイナール

掲載:2009年2月5日号
Vol77.カンパニーマリー・シュイナール
人間そのものが舞台で昇華


 「ダンスとはこういうもの」という固定観念を持つ人は、このダンスカンパニーの舞台に度肝を抜かれるに違いない。
 「カンパニー マリー・シュイナール」日本公演。05年・06年以来の熱いラブコールに応えて、モントリオールから再々来日が決定! しかも、日本初演の最新作「オルフェイス&エウリディケ」の上演場所として選ばれたのは、東京ではシアター1010のみという。
 オルフェイス」とは「始まりの詩人」。同作品の題材は、創造・喪失・永遠性の概念を希求するギリシャ神話。奇抜で大胆で動物的で祝祭的で官能的なシーンが繰り広げられ、「生きている人間」そのものが舞台で躍動する。「生きていること」の素晴らしさ、悲しさ、苦しさ。「生きていくこと」の勇気、希望、そして切なさ。それらが神神しく昇華していく。心の奥底に眠る細胞が目覚め、生まれ変わっていくような感覚。彼らの鍛え抜かれた身体からほとばしるオーラが、舞台を飛び出し、「共感の嵐」となって、まるで観客全体を包み込むかのようだ。
 同カンパニー・芸術監督のマリー・シュイナールは、78年に処女作「Cristallisation(結晶化)」を発表。「本質の探究に憑かれた例外的なアーティスト」としてその立場を確立し、90年にカンパニーを設立。ソロ活動中にニューヨーク、ベルリン、ネパール、バリなどに滞在し、その先々での文化やテクニックを研究。それが独自の身体表現に、大きな影響を与えている。これまでに、50以上のソロとグループ作品を発表。「聖なる芸術」としてのダンスで、様々な宇宙空間を創り出してきた。日本のダンスシーンにも、大きな衝撃を与えた同カンパニーの東京公演が心待ちされる。
★上演日時=2月6日(金)午後7時半、7日(土)8日(日)午後3時開演。7日の公演後には、振付・演出家によるアフタートークがある。
★料金=5500円。学生4500円。
★チケットTEL5244・1011(シアター1010)。
写真撮影=Marie Chouinard