足立朝日

Vol.73-笑劇 モリエール!!!

掲載:2008年9月5日号
Vol.2「滑稽な才女たち」より
セレブ気どり

  笑劇「セレブ気どり(滑稽な才女たちより)」がシアター1010で上演される。
  同劇場が、フランスの代表的な喜劇作家・モリエールの作品を扱うのは、「スガナレル」に続き、これが2作目。
  17世紀フランスのコルネイユ、ラシーヌと共に古典主義の三大作家のひとりとして活躍したモリエールは、笑いの中で金権主義や肩書主義を暗に、かつ痛烈に批判。その劇作は宮廷でも認められ、喜劇への人気を高める機動力となった。

 前回に引き続き、今作品の脚本・演出は是枝正彦が務めるが、モリエールの思いは、是枝のそれと重なるだろう。かつて、「キモサベポン太」として演芸の世界を賑わせた是枝は、舞台上でも舞台を離れても、人間の裏表を鋭く観察し、切り取ってきた。その手腕は、演劇作家となった現在も健在で、笑いの中に潜む哀愁や、驕り高ぶる人間への皮肉・空虚さを浮かび上がらせる第一人者だ。

風刺の効いた鋭いセリフで大笑い

 物語は、是枝流に脚色されているが、根底を流れるモリエールの思いは同じ。テンポの良い現実離れしたセリフの応酬が、ひたすらおかしい。
  舞台はゴルジュビス家。名前を聞くだけでも噴き出してしまうが、オハツ、オウメ、オクマ、オトラの4姉妹が登場。
  ゴルジュビスはどうにかして彼女らを金持ちの青年に嫁がせようとするが、4姉妹は「身分が違う」と青年たちをあざ笑う。ひどい仕打ちを受けた彼らは、役者をセレブに見立てて彼女らに近づけ、復讐を企てるが……。
  厳しいオーディションを通過した若者たちが、その感性を全開にして、この作品に臨む。仕事や生活に疲れた時、ひょっと劇場に立ち寄って、クスクスと笑ってみるのも良いストレス解消になるかもしれない。
  上演期間=9月12日(金)~23日(火)。前売5000円、当日5500円、千住席1010円、フレンズ会員4000円、足立区民(在勤・在住)4500円。Tel5244・1011。