足立朝日

Vol.71-応挙の幽霊 -坂口 良子-

掲載:2008年6月5日号
 この7月5日(土)、シアター1010に初めて「歌舞伎」が登場する。 
  「歌舞伎」と聞くと、「高尚で高額。敷居の高いもの」「限られた人間が演じる特別な伝統芸能」と考える読者も多いだろう。
  でも、今作品『応挙の幽霊』は、まさに歌舞伎ルネサンス。主催のNPO法人・日本伝統芸能振興会と、舞台創造研究所による歌舞伎の大革新を楽しめる。鶯亭金升の原案を、竹柴源一が脚色。
歌舞伎に女性が挑戦
 まずは舞台の構成が面白い。第一部は歌舞伎の見方『三番叟(さんばそう)のできるまで』。第二部の歌舞伎舞踊『操り三番叟』へ出演する役者の化粧や、着付けの様子を公開するという驚きの企画だ。本来、楽屋は役者にとってその役柄に入魂する聖域であるが、あえて観劇者がその領域に踏み込み、役者の変身ぶりを見ることができる特別仕立てになっている。

  第二部では、先の役者が登場。猿楽・神楽・能・歌舞伎のすべてで重要な位置を占める演目のひとつである『三番叟』を舞う。今回は、糸がもつれた操り人形の姿を、楽しく滑稽に表現する。
 そして第三部は、これまで男性の世界であった歌舞伎に、俳優の坂口良子(写真右)が挑戦!同じく俳優の沢竜二(写真左)と共に、1年間の稽古期間を経て、歌舞伎を学んでの出演となった。さらに、西川流師範の西川扇与一が共演する。
 道具屋・甚三(沢)が『円山応挙』の幽霊画の贋作を手に入れて、ひと儲けしようと悪だくみ。呉服屋の若旦那・松五郎(西川)にまんまと売りつける。ところがこれは幽霊が抜け出てくる本物で、しかも、その美人幽霊(坂口)は酒好きの上、酒癖が悪くて……。
  その美人幽霊を演じる坂口から、足立区民に次のメッセージ。
  「商売上手な男やもめと、騙されやすい金持ちの若旦那、酒癖の悪い美人幽霊、この3人が軽妙なテンポで展開していく、とても面白い歌舞伎です。皆様にお会いできる日を楽しみにしています」
  公演日時=7月5日(土)~7日(月)。S席4500円、A席4000円。TEL5244・1011。TEL3552・6635歌舞伎公演事務局。