「俳優は役を『演じる』のではなく、『たったひとつの人生を生きて』ほしい。イプセンの作り出した人間を、そこに生きている人間として『存在』させてほしい」
11月1日(木)からシアター1010、ミニシアターで上演される「野鴨」(イプセン原作)のプロデューサー・笹部博司のこの要求は、俳優にとって、斬新かつ最も人間への理解力を要するものだ。
たったひとつの人生を舞台に
失明寸前のヴェルレ(津嘉山正種)は、息子のグレーゲルス(保村大和)に事業を譲り、家政婦のセルビー夫人(髙汐巴)と暮らす予定でいる。グレーゲルスは、友人のヤルマール(手塚とおる)が、ギーナ(石田えり)と結婚し、娘・ヘドヴィック(鎌田沙由美)を授かったことを知り、ある事実に気付く。ヤルマールの父で、元軍人のエクダル老人(藤井びん)や、セルビー夫人の元愛人・レリング医師(石橋正次)。誰もが、たったひとつの人生から逃げ出せずに生きている。これら大人たちの中で生きる13歳のヘドヴィックは、なぜ死ななければならなかったのか?
「野鴨」というミステリーを、笹部は現役精神科医でもある演出家・タニノクロウに託した。タニノは、自身が主宰する「庭劇団ペニノ」で、俳優や観客の心の中から得体の知れない何かを引き出すような演出をしてきた。ヴェルレ家の使用人・ペテルセン役のマメ山田の出現も、観客を興奮の渦に巻き込むに違いない。
83年に「黒いチューリップ」(作=唐十郎、演出=蜷川幸雄)で鮮烈なデビューを果たした手塚は、今や俳優だけではなく、脚本家・演出家としても活躍中。今回、ヤルマール役に挑戦するにあたり、「みんなで『演じない』舞台は初めて。この芝居で、普通だと思っていることが本当に普通なのか、日常を切り取って、謎の部分を浮かび上がらせたい。イプセンは、俳優が『こういう役』と決めるのではなく、観客にも一緒にその人間を覗き込んでほしかったのではないか」と考える。安曇野から切り出した木々が舞台で森となり、それを見下ろす客席の目の前で何が起こるのか?
上演期間=11月1日(木)~30日(金)。前売4600円。フレンズ会員割引あり。チケット℡5244・1011。
11月1日(木)からシアター1010、ミニシアターで上演される「野鴨」(イプセン原作)のプロデューサー・笹部博司のこの要求は、俳優にとって、斬新かつ最も人間への理解力を要するものだ。
たったひとつの人生を舞台に
失明寸前のヴェルレ(津嘉山正種)は、息子のグレーゲルス(保村大和)に事業を譲り、家政婦のセルビー夫人(髙汐巴)と暮らす予定でいる。グレーゲルスは、友人のヤルマール(手塚とおる)が、ギーナ(石田えり)と結婚し、娘・ヘドヴィック(鎌田沙由美)を授かったことを知り、ある事実に気付く。ヤルマールの父で、元軍人のエクダル老人(藤井びん)や、セルビー夫人の元愛人・レリング医師(石橋正次)。誰もが、たったひとつの人生から逃げ出せずに生きている。これら大人たちの中で生きる13歳のヘドヴィックは、なぜ死ななければならなかったのか?
「野鴨」というミステリーを、笹部は現役精神科医でもある演出家・タニノクロウに託した。タニノは、自身が主宰する「庭劇団ペニノ」で、俳優や観客の心の中から得体の知れない何かを引き出すような演出をしてきた。ヴェルレ家の使用人・ペテルセン役のマメ山田の出現も、観客を興奮の渦に巻き込むに違いない。
83年に「黒いチューリップ」(作=唐十郎、演出=蜷川幸雄)で鮮烈なデビューを果たした手塚は、今や俳優だけではなく、脚本家・演出家としても活躍中。今回、ヤルマール役に挑戦するにあたり、「みんなで『演じない』舞台は初めて。この芝居で、普通だと思っていることが本当に普通なのか、日常を切り取って、謎の部分を浮かび上がらせたい。イプセンは、俳優が『こういう役』と決めるのではなく、観客にも一緒にその人間を覗き込んでほしかったのではないか」と考える。安曇野から切り出した木々が舞台で森となり、それを見下ろす客席の目の前で何が起こるのか?
上演期間=11月1日(木)~30日(金)。前売4600円。フレンズ会員割引あり。チケット℡5244・1011。