「会話」が弾ける関西弁の人情喜劇登場
劇作家「わかぎゑふ」は、実に不思議な生きものである。人間の女性であることには間違いないが、演出家・エッセイストでもあり、俳優としても時には幼い子どもや少年、時には妖艶な女や淑女、時にはあっけらかんとした下町のお姉さん等々、身も心も変化自由なのだ。その根底には、某作家の秘書を務めた時期に「どんな仕事でも最初は必ず受けろ。受けるうちに自分の適性が判る」という言葉が生きている。
その突き抜けた自由さで試みたのは、かつて追っかけをした憧れの坂東三津五郎の依頼による新作舞踊劇「たのきゅう」の演出。何人もの名だたる歌舞伎俳優の目の前で、落語や民話の「田能久(たのきゅう)」を題材にした老若男女が楽しめる歌舞伎を創り上げ、楽日には歌舞伎座始まって以来のスタンディング・オーベーションを成し遂げた。関西の小劇団「リリパットアーミーⅡ」に所属し、座長を務め、さらに演劇ユニット「ラックシステム」を立ち上げ、大阪の市井の人々の生活感溢れる人情劇を上演し続ける感性とパワーが、どんなジャンルも演出可能な仕事力を生み出している。
「お」で始まるタイトルにこだわり、「お花見」「お正月」「お見合い」「お祝い」……を上演し、「お祝い」では作・演出で大阪舞台芸術賞奨励賞をも受賞してしまったわかぎが、今回初めてシアター1010で挑戦するのは新作「お代わり」。ラックシステム15周年記念公演第3弾・最終章となる同作品は、明治開国に洋行した山田家の兄弟が、「ハンバーグとは何ぞや?」を理解しないまま、怪しげなハンバーグを山田家の味として継承する家庭劇。わかぎの言う「多分、世界一料理が下手な実母」から発想を得た、ひたすら大らかで楽しい作品だ。わかぎのタフなキャラクターは、明治生まれの外国航路の船員で限りなく女性を愛した父親と、それには全く動じない大正生まれの母親、さらには全て戦前生まれという異母兄弟の中で繰り広げられた日常から形成され、その明治・大正・昭和が混然一体となった経験がどの作品にも反映している。
シアター1010公演は、1月29日(金)午後7時半、30日(土)午後3時・午後7時、31日(日)の3日間のみ。わかぎが「泣き笑いしすぎたら堪忍でっせ」とほくそ笑む顔が目に浮かぶ。
料金=前売4500円、当日5000円。チケットTEL5244・1011。
劇作家「わかぎゑふ」は、実に不思議な生きものである。人間の女性であることには間違いないが、演出家・エッセイストでもあり、俳優としても時には幼い子どもや少年、時には妖艶な女や淑女、時にはあっけらかんとした下町のお姉さん等々、身も心も変化自由なのだ。その根底には、某作家の秘書を務めた時期に「どんな仕事でも最初は必ず受けろ。受けるうちに自分の適性が判る」という言葉が生きている。
その突き抜けた自由さで試みたのは、かつて追っかけをした憧れの坂東三津五郎の依頼による新作舞踊劇「たのきゅう」の演出。何人もの名だたる歌舞伎俳優の目の前で、落語や民話の「田能久(たのきゅう)」を題材にした老若男女が楽しめる歌舞伎を創り上げ、楽日には歌舞伎座始まって以来のスタンディング・オーベーションを成し遂げた。関西の小劇団「リリパットアーミーⅡ」に所属し、座長を務め、さらに演劇ユニット「ラックシステム」を立ち上げ、大阪の市井の人々の生活感溢れる人情劇を上演し続ける感性とパワーが、どんなジャンルも演出可能な仕事力を生み出している。
「お」で始まるタイトルにこだわり、「お花見」「お正月」「お見合い」「お祝い」……を上演し、「お祝い」では作・演出で大阪舞台芸術賞奨励賞をも受賞してしまったわかぎが、今回初めてシアター1010で挑戦するのは新作「お代わり」。ラックシステム15周年記念公演第3弾・最終章となる同作品は、明治開国に洋行した山田家の兄弟が、「ハンバーグとは何ぞや?」を理解しないまま、怪しげなハンバーグを山田家の味として継承する家庭劇。わかぎの言う「多分、世界一料理が下手な実母」から発想を得た、ひたすら大らかで楽しい作品だ。わかぎのタフなキャラクターは、明治生まれの外国航路の船員で限りなく女性を愛した父親と、それには全く動じない大正生まれの母親、さらには全て戦前生まれという異母兄弟の中で繰り広げられた日常から形成され、その明治・大正・昭和が混然一体となった経験がどの作品にも反映している。
シアター1010公演は、1月29日(金)午後7時半、30日(土)午後3時・午後7時、31日(日)の3日間のみ。わかぎが「泣き笑いしすぎたら堪忍でっせ」とほくそ笑む顔が目に浮かぶ。
料金=前売4500円、当日5000円。チケットTEL5244・1011。