足立朝日

Vol.63-スガナレル -三波 豊和-

掲載:2007年10月5日号
 「歌舞伎座の3階の一番奥のお客様にも声が届かなければいけない」という父の信念を受け継ぎ、朗々とした深い声を、シアター1010の舞台に響かせる息子。父とは、故・三波晴夫であり、息子「三波豊和」が、この10月に同劇場で「スガナレル」を初主演する。
フランスを代表する喜劇作家モリエールの作品の、脚本・演出を是枝正彦が担当。かつて「キモサベポン太」名で、笑いの舞台を賑わせていた時代を記憶の読者も多いだろう。今作品でも、芸名でゴルジビュス役を演じ、それを自らが演じる最後の舞台と決め、今後は脚本・演出に専念するという。
6歳からの芸能生活を主役で開花
 豊和が演じるのは、主人公の「スガナレル」。カップルナンバーワンを自称するスガナレルと、妻のコロンビーナ(羽生愛/元C・Cガールズ)。スガナレルが若いカップルの女性を介抱し、コロンビーナがそのカップルの男性の写真入りペンダントを拾ったことで、お互いに誤解・疑惑・嫉妬が生じ、それが若いカップルにも飛び火していく爆笑コメディだ。若者カップルは、各事務所にオーディションをかけ、3回にわたる厳しい審査を通過した大貫杏里(セリー)と宮下雄也(レリー)。
 三十数年前に「昭和の若獅子」をキャッチフレーズに歌手デビューをした豊和は、慶應大学の学生であったこともあり、貴公子的イメージが強かった。6歳から芸能生活を経験している豊和の、コメディの素質を見抜いた故・青島幸雄が、自身が主演する「意地悪ばあさん」の「万年浪夫」役に推薦。同番組は30%の視聴率を誇り、お婆ちゃんの格好の意地悪相手に選ばれた豊和は、役を通じて「素の自分で勝負すること」の大切さを学んだという。NHKの「お~い! はに丸」の神田クンでもブレイクし、街でも「神田く~ん!」と声をかけられたと笑う。人形劇「紅孔雀」では、那智の小四郎の吹き替えを担当し、声優ブームの先駆けとなった。
 チャレンジ精神旺盛な豊和は、自身のブログや企業応援サイトも開設(「三波豊和」で検索)。豊和が大いに弾ける舞台を、今、ファンが楽しみに待っている。上演期間=10月19日(金)~28日(日)。前売5000円。千住席1010円、フレンズ会員割引4000円。区民割引4500円。チケット ℡5244・1011。