足立朝日

　チラシには艶やかな女性３人と、粋な男性８人の写真が輝く。でも、よくみると、全員が男性というユニークさ。そう、８月24日（金）～26日（日）、「シアター１０１０」で松竹特別公演「ＰＥＴＥＲVS池畑慎之介」の上演が決定。ホロリとする芝居と華やかなショー、全体で約３時間の豪華な舞台だ。
　前半は、長谷川伸の名作「一本刀土俵入り」（潤色・演出＝金子良次）。取手の旅籠・我孫子屋の酌婦お蔦を池畑慎之介、朋友の酌婦を新派の英（はなぶさ）太郎が演じ、女形の競演が既に巷では話題となっている。お蔦が情けをかける力士・駒形茂兵衛に勝野洋。茂兵衛を喧嘩に巻き込む無法者の船戸の弥八に新田純一。お蔦が子を宿した相手・船印彫師の辰三郎に国広富之。お蔦と茂兵衛が出会ってから10年後、ふたりは再会する。
ピーターと慎之介３時間の豪華舞台
　「ピーターが和ものの芝居？」と意外に思う読者が多いかもしれないが、そもそもピーターは地唄舞吉村流第四世家元「人間国宝・故吉村雄輝氏」の長男で、３歳からこの世界に入った和舞のベテラン。吉村氏が舞踊で受賞した「松尾芸能賞・優秀賞」（昭和63年度第９回）を、俳優・池畑慎之介として演劇で受賞（平成15年度第25回）。「越路吹雪物語」「ジンジャーブレッド・レディー」「阿国」での演技と歌唱力が高く評価され、晴れの父子受賞となった。
　後半は「ピーターズレヴュー」。前半では和装の池畑慎之介が、ドレスに着替えてピーターに変身。歌とダンスの華麗なショーを繰り広げる。「ピーター」といえば誰もが認める「美しさ」の象徴であるが、俳優の池畑慎之介の部分を持つことで芸域がさらに広がり、固定観念にとらわれずに済むようになった分、自分が楽になったと言う。
　今回の舞台は、全国35カ所２カ月間にわたる大興行になる。その皮切りとなるシアター１０１０の芸術監督・朝倉摂は、当時16歳のピーターをこの世界にスカウトした人物。来年、デビュー40周年を迎えるピーターは、その節目として今回の舞台を「これからの方向性を考える良いチャンス」だと考える。歌手・俳優・ダンサーとしての自分の軸は「やらされるのではなく、１００％納得して自らが元気で伸び伸びと前向きに楽しむこと」。「ピーターと池畑慎之介、ふたりを観られて良かったと思える舞台にしたい」と意気込みをのぞかせる。その晴れやかな美しい笑顔と伸びやかな肢体が、観客を夢の世界へ誘う。
　全席指定７７００円。フレンズ10％引き。チケット℡５２４４・１０１１。