足立朝日

Vol.94千住落語会「東西“オレ流”競演」 春風亭昇太

掲載:2010年6月5日号
東西“オレ流”の落語家が1010に大集結

 大評判の千住落語会が7月、シアター1010の舞台で弾ける。今回は「東西〝オレ流〟競演」をタイトルに、東からまずは新作落語のドン・三遊亭円丈師匠。独自の実験的落語の豊かさは、狛犬研究やパソコン、ゲームに精通など多趣味の賜物(か?)。次世代を担う落語家に次々と影響を与える存在は大きい。続いて、昔昔亭(せきせきてい)桃太郎師匠。初代は「鬼が島へ行った」そうなので、先代の昔々亭桃太郎師匠の後の「自分は3代目」らしい。こんなユーモラスな語り口がファンを魅了する。
 東からのもう一人の逸材は、このコーナーのトリをお願いして、西のメンバーをご紹介。まずは桂かい枝さん。古典・新作落語にはとどまらず、英語落語家として全米30都市以上をキャンピングカーで巡業。半年で60公演を突破したツワモノ。続いて笑福亭たまさん。京都大学経済学部卒業後に、笑福亭福笑師匠に弟子入りという異色の経歴の持ち主で、若者からの人気は絶大。「正しい落語家」を目指して修業中だが、「何を基準に正しいのか」は不明。
 さて、お待たせしました。東に戻り春風亭昇太師匠。人気テレビ番組「笑点」での元祖草食系男子を彷彿とさせる爽やかさは、普段でも変わらない。新作落語の貴公子いわく「僕は円丈師匠の新作落語の影響を受けました。そういう噺家は多くて、『円丈チルドレン』と呼ばれているの。桃太郎師匠は一門の先輩で、お2人とも僕の大好きな尊敬する師匠です」。昇太師匠は5代目春風亭柳昇師匠の弟子だが、徒弟制度の厳しいこの世界で、「私の家の雑用をするのではなく、良い芝居や映画を沢山観なさい」と教えを受けた。昇太師匠自身もラジオのレギュラー、書籍執筆などあらゆるジャンルに進出。6月18日(金)~7月4日(日)は、三宅裕司率いる「熱海五郎一座」(サンシャイン劇場)に出演。人生、ただ面白おかしく過ごしたいというやわい風潮の中で、「面白さの意味」を追求し続け、それらをさらりと芸に活かす昇太師匠は、やはりイカス! 
【日時】7月23日(金)午後6時半開演、場所=シアター1010、料金=4000円、フレンズ会員10%引。チケットTEL5244・1011。


写真=上/春風亭昇太師匠
下/左から三遊亭円丈師匠、昔昔亭桃太郎師匠、桂かい枝さん、笑福亭たまさん